政治の話、選挙の話って、なんだか周りに話しにくいこと、ありませんか?
私が小学2年生の時、故大田昌秀元県知事が、初めて県知事選に出馬しました。私の両親は大田さんと同じ久米島出身で、私の周りの大人たちは大田さんを応援していました。家ではよく大田さんの話題になり、祖父母は支援する会合に参加していました。私にとって、大田さんは身近な存在で、詳しいことは分からないけど、楽しいことが起きそう、当選してほしい、と思っていました。
そんなある日、学校の給食時間に私が「お父さんも、お母さんも、おじいちゃんも、おばあちゃんもみんな大田さんに入れるんだよ」と話すと、先生から「そういう話は周りにはしない方がいい」と言われました。私にとってはおいしかった食べ物や、遊びに行った楽しいところの話をするのと同じ感覚で、投票のことを話したのですが、気まずい雰囲気になり、自分が悪いことをしたと感じて「これからは選挙の話は人にはしてはいけない」と思いました。大田さんが当選を果たした時は、家族みんなで喜び、私もうれしかったのですが、周りには言わないようにしていました。
それからも何となく、友だちと政治の話や選挙の話はしづらく、楽しいおしゃべりの話題には合わない気がしていました。でも、政治の話が身近に感じることはたくさんあり、消費税が導入されて買い物のたびに細かな値段が追加され、消費税もどんどん上がっていきました。大人になってからも、子ども手当ができたり、ヘルパー利用の制度が変わったり、変化を肌で感じることはたくさんありました。そして、これからの流れ次第では大きな変化があり、自由に思うことを表現することが難しくなったり、テロ対策という名の下で緊張した雰囲気が作られたりするかもしれません。私たちの毎日は、政治を基に成り立っているのです。
この夏、私が訪れたデンマークでは投票率が80%以上。政治の話、選挙の話はいつでもホットトピック。夕飯でも、カフェタイムでも、話題に上がります。
衆議院選挙の投票まであと6日。家族や友だちと、政治について、選挙について話してみませんか? 普段は話しづらいし、分からないこともたくさんですが、疑問に思うことはインターネットや新聞で調べたり、周りにどんどん聞いたりしましょう! そして自分のやりたいことを公約に掲げている候補者、信頼できる候補者に一票を投じませんか?
(次回は11月6日に掲載します)
伊是名夏子
いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。
(2017年10月2日 琉球新報掲載)