「ママのこと、守ってあげる」4歳の息子が私に言いました。急に言われたのでびっくりしたのと同時に、ついに来たか、とも思いました。男性が女性のことを守るという固定観念、あるんですよね。私は「ママは守ってもらいたいと思ってないよ。一緒にしよう、の方が嬉(うれ)しいな。ちなみにパパはママのこと、全然守ってないよ」と伝えました。息子にとっては、期待外れのママの反応に、がっかりだったかもしれませんが、笑。
男だからこうしなきゃいけない、女だからこうしたほうがいい、をなるべく無くしていきたい私。その考えが偏見や差別につながることがよくあるからです。男女の性差が少ないといわれているデンマークでは、女性だって大きな荷物を持つし、男性だって家事や育児をこなします。性別や見た目にとらわれず、息子自身も好きなことをしてほしいし、相手を受けいれることができる人になってほしいです。
息子の好きな色はピンク。今、はまっているのはカンプー(髪を結ぶこと)で、ピンクのゴムでのカンプーが定番です。ありがたいことに保育園の先生の理解があり、髪の結び直しまでしてくれるので、安心して彼の好きなことをサポートできます。「男の子なのにピンク!?」という人もいますが、まずは自分が大事にされる経験を積み、相手を尊重できるようになってほしいです。
私たちの身の回りには性的役割にとらわれた表現の多いこと! 例えば高校の教科書の挿絵では、医師などの「職業人」として描かれたイラストは男性ばかり。男性と女性のペアのイラストでは、男性が発言し、女性は聞き役の沈黙というのがほとんどです。男女雇用機会均等法ができてすでに30年余りたちますが、まだまだ性差のある考え、表現が多いことにがっかりです。
また、障害のある私を「大変そう」「助けてあげないといけない」と思う人も多いでしょう。でも、私は不便なことはありますが、毎日が楽しいです。助けてほしいと思うときもありますが、誰かを助けたい、といつも思っています。
障害者、子ども、大人、男性、女性、〇〇出身、などのカテゴリー分けは、時には生き方や、考え方を決めつけてしまうことがあります。でも人は一人一人違うので、それに合わないこともたくさんあります。誰だって自由な考えを持っていいし、やりたいことにチャレンジしていいのです。そして誰を好きになってもいいし、好きな人がいなくてもいいのです。お互いを認め合うことが幸せ、それを大切にしていきませんか?
(次回は11月20日に掲載します)
伊是名夏子
いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。
(2017年10月2日 琉球新報掲載)