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講演での種まき 100cmの視界から―あまはいくまはい―(36)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

私が講演活動を始めたのは15歳、高校1年生の時でした。緊張して早口になったり、学業を休んで講演することに悩んだりすることもありました。あれから20年、県内メインだった活動も全国各地、時には外国でやることもあります。トークイベント、パネルディスカッションなど幅広い仕事にもつながり、出会いも多く、ありがたいです。

たとえ30分の講演でも、10人の人が聞いてくれたら300分、5時間分になります。その価値をお金で換算すると4千円くらい稼げるし、映画を2本見ることだってできます。家の掃除を始めたらピカピカになるでしょう。それが私の話を聞くためだけに使われるなんて!ありがたくもあり、恐縮な気持ちもしますが、それに応えられるよう、毎回グッと気を引き締めています。一人一人の貴重な時間がより良い時間になり学べること、そして楽しい時間になるよう、全力で挑んでいます!パワーポイントも聞く人に合わせて、毎回少しずつ変えて工夫しています。

また聞くだけではなく参加型にもしたいので、隣りに座っている人と二人一組のペアになってもらいます。自分で考えたことを相手とさらに深めることで、いいアイディアが生まれ、動く力になると信じているからです。眠くなっても、ペアワークになるとリフレッシュ。一石二鳥です(笑)。

高校生の時の講演会

講演後の質問に私はワクワク。新しい発見になり、次の講演につながるからです。障害のある生活や、助け合うことについて伝えることは、小さな種まきにしかすぎません。それがどこに運ばれ、いつ芽を出し、花を咲かせるかわからないのです。結果がわからないからこそ試行錯誤が続きます。どこかで私の話を思い出して、何か行動につなげられるとうれしいです。またこれからの未来を築く若い人とは、よりつながっていきたいので、聞いてくれるとうれしいです。

ただひとつお願いです!私、人の顔と名前を覚えるのがとても苦手!前にお会いしたことがあるのに、覚えていない時はごめんなさい。懲りずにまた自己紹介をお願いします。

17日午後1時半から、てだこホールで「助け合うってどういうこと?」をテーマに講演します。また「障がいのある子の子育てや障がいのある人の子育て」のパネルディスカッションもあります。ぜひご参加くださいね。

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17日の講演会(県主催)は伊是名さんによる基調講演のほか、パネルディスカッションがある。伊是名さんと県立鏡が丘特別支援学校主幹教諭の前川考治さんがパネリスト、沖縄県手をつなぐ育成会の田中寛理事長がコーディネーターを務める。参加費無料で定員は300人。事前申し込みが必要。申し込みは(電話)098(860)0055(沖縄広告)。

(次回は27日に掲載します)

伊是名夏子

いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年11月13日 琉球新報掲載)