prime

人とつながれる沖縄 100cmの視界から―あまはいくまはい―(37)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

先日、1年ぶりに沖縄に帰りました! 講演会だけでなく、テレビ、ラジオ、新聞の取材など大忙しでしたが、あたたかい沖縄の人たちに癒やされました。道を歩いていると、通りすがりのおばちゃまたちが「あい!かわいいね!」と声を掛けてくれたり、スーパーでも「上の物、取りましょうか?」と言われたり。県外では車いすの私をわざと見ないようにする、不自然な態度に疲れてしまうこともあるのですが、沖縄の人は違います。あえてじっと私を見て「どうしたの?」「大丈夫ね?」と声を掛けてくれるのです。

また県外で私がエレベーターに乗っている時、スペースがあり一緒に乗れるのに「次に乗ります」と言って乗ってこない人もよくいます。思いやりなのかもしれませんが、一線をひかれたようで悲しくなります。でも沖縄の人は「一緒に乗ろうね」と近づいてきて、同じ空間を過ごすのが当たり前。また県外では子どもが私のそばを通ると、大人は大げさに「あぶない!」「どいて!」と注意することが多いのです。でも沖縄では私が通ると立ち止まって、通しやすくしてくれる人もいます。

16日、ラジオの「ハッピーアイランド」に出演した時、多喜さん、伊藝さんと

講演をさせていただいた那覇市の小学校では、高学年の子どもたちが素直に、人懐っこく私に話し掛けてきたり、車いすに乗ってみたりと、グッと近づくことができました。県外の遠慮深く、礼儀正しい子どもたちとの違いに驚きました。沖縄の人たちは時間の流れがゆっくりで、相手を思いやる心の余裕があるのかもしれません。また人間関係で遠慮をし、礼儀正しく相手を気遣うというよりも「人とつながりたい」という思いが強いのではないでしょうか。

私が18年前、沖縄から東京の大学に進学した時、沖縄出身の人に出会うと「私も沖縄だよ!どこの高校?」「〇〇さん、知ってる?」と盛り上がり、すぐに仲良くなりました。それはアメリカ留学の時、日本人同士ですぐに仲良くなったのと似ていて、沖縄の人にとって「県外で生きる」ことは、「留学」のようなのかもしれません。

県外にいる沖縄出身の友だちとは「沖縄の食べ物や、歌、方言など、自分の子どもが知らなかったら悲しいよね。絶対に伝えていこうね」とよく話したものです。私は県外に住み、初めて沖縄文化の豊かさに気づきました。今では月桃の香りや、紅型、方言、エイサーなど、沖縄の物が大好きです。

人とのつながりを大切にする沖縄の人たち。それを誇りに思いながら、沖縄に帰れる日まで、県外の生活を頑張ります。応援、よろしくお願いします!

伊是名夏子

いぜな・なつこ 1982年那覇市生まれ。コラムニスト。骨形成不全症のため車いすで生活しながら2人の子育てに奮闘中。現在は神奈川県在住。

 

(2018 年11月27日 琉球新報掲載)