9月はまだまだ暑い沖縄ですが、暦の上では秋です。“読書の秋”で季節を先取りしませんか? 今回は個性あふれる県内の古本屋さんが集まるイベントをご紹介。主催するのはリブロリウボウブックセンター店。店長の小熊基郎さんに、イベントの経緯や沖縄ならではの本事情についても聞きました。
3日(土)からリブロ リウボウブックセンター店で開催される「琉球・沖縄の古書フェア&なつかし昭和古本アワー」。県内各地の古書店が参加し、それぞれがセレクトした本を一度に手に取ることができるイベントです。今回は小雨堂(浦添市)、ちはや書房(那覇市)、古書ラテラ舎(同)の3店が参加。本好きには見逃せないのではないでしょうか。
しかし調査員には気になることが。会場のリブロは新刊本を扱うお店ですよね、なぜ古書店を集めてイベントをすることになったんでしょう? まずはそこについてリブロ店長の小熊基郎さんに聞いてみることにしました。
書店同士の交流がきっかけ
「沖縄では新刊と古書、それぞれを扱う店の間に隔たりがありません。お店同士が交流する際のハードルが良い意味で低いんですよ」
そう話す小熊さん。県内では、新刊本を売る書店と古書店の間で、お互いのビジネスの範囲を厳格に線引きしない関係が築かれているそう。日頃からカジュアルに情報交換し、お店を行き来し合える雰囲気があるのです。なるほど、「古書フェア」は本屋さんたちの良好な関係が生み出したイベントなのですね。加えて小熊さんはこう話します。
「本を読む、という行為を第一に考えると、新刊か古本か、ということにはあまり違いがありません。一人でも多くの人が本を手に取ることが大事なんです」
イベントに出展する書店の間には、協力して県内の読書熱を高めたい、という思いが共有されているようです。
昭和レトロな本に注目
さて、今回の「古書フェア」の見どころは何でしょうか?こちらも聞いてみました。
リブロでは毎年5月と9月に古書フェアを開催しています。例年は、5月に比較的新しくできた古書店を集め、それぞれの個性を全面に出した内容に。9月は老舗とされる店が希少なコレクションを提供、という風に変化をつけていました。今回からは少し趣向が変わり、回ごとにテーマを設けてセレクトした古書を出展するそうです。イベントタイトルに入っている「昭和古本アワー」という部分が今回設定されたテーマなんですよ。
「小雨堂さん、ちはや書房さん、古書ラテラ舎さんはお店の方の年齢も近く、昭和のサブカルチャーに通じているという共通項もあります。なので今回のイベントは、ファッションや映画、音楽を通じて『昭和レトロ』に興味がある若者にも楽しめる内容になっています」
小熊さんがこうアピールするように、昭和のマンガ、文学、アートブック、趣味の解説本などが集まるそうです。もちろん、リアルタイムで昭和を体験した方々にも楽しめる内容となっています。
イベントでは、県内の出版社が発行する「県産本」の他、琉球時代から現在までに行政が発行した資料、学術研究の文献なども販売予定です。こういった本が豊富にあるのも沖縄ならではの特徴です。小熊さんは「私は以前関東で書店員をしていましたが、県史や市町村史が広く出回っているのは、沖縄以外では聞いたことがありません。さらに狭い地域について記した字史(あざし)まであると知った時は驚きました」と教えてくれました。
復帰50年にあたる今年。「沖縄のことをもっと深く知りたい」という方もぜひ、「古書フェア」に足を運んでみてください。
琉球・沖縄の古書フェア&なつかし昭和古本アワー
会場:リブロ リウボウブックセンター店(パレットくもじ7階)
期間:3日(土)~25日(日)
時間:10時~20時(最終日は17時まで)
問い合わせ:098-867-1725
(リブロ リウボウブックセンター店)
(2022年9月1日 週刊レキオ掲載)