悪ふざけ動画の拡散 モバプリの知っ得[213]


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飲食店で「悪ふざけ」を行う様子を撮影した動画がSNSなどで拡散し、炎上する事件が相次いでいます。動画の中には飲食店に対する業務妨害にあたるひどいものもあり、「悪ふざけ」という軽い言葉ではなく「犯罪」と表現した方がいいのかもしれません。こうした動画が炎上する騒動は数年に一度ブームの様にやってきます。大きな話題になるとみんな気をつける様になるが、時間が経つと忘れてしまい、また同じようなことをやる人が出てくるのでしょう。

「飲食店の割り箸を舐める」「コップにツバを入れて戻す」などの行為は不潔で、嫌悪感を覚える人も多いと思います。コロナ禍で清潔意識が高まった今の時代であれば尚更ですね。こうした動画が拡散されると、飲食店のイメージダウンにつながり、客足も遠のきます。今後、動画“悪ふざけ動画”に関わった人は、お店から莫大な金額の損害賠償を請求されるかもしれません。

問題となるのはお金だけではありません。ネット上では、関係者の名前・住んでいる地域・学校名などがさらされる、誹謗中傷も発生しています。動画が拡散されたことで飲食店のイメージを下げた事に関しては「加害者」であったとしても、そこからエスカレートするネットの誹謗中傷では「被害者」になることになります。あわせて、こうした動画を批判することは大事ですが、個人攻撃や誹謗中傷にならないよう批判の方法を考える必要もあります

イラスト・小谷茶(こたにてぃー)

~ 言葉の解説 ~

炎上する事件が相次いでいます … こうしたニュースを見て多くの方は「なぜ、こんな事をするのだろう」「自分は大丈夫」と感じるかもしれません。しかし似たような出来事が定期的に発生する以上、「個人の問題」ではなく「仕組みの問題」と考えてもいいのかもしれません。例えば、仲間内での冗談のつもりだった発言が外に伝わり政治家が謝罪、ゲーム実況者が配信中に差別発言をして契約解除などのニュースも繰り返されています。“悪ふざけ動画”と共通しているのは「仲間内だけの悪ふざけのつもりが、許されない言動だった」という部分です。さらに「仲間内でふざける」と絞ると、心当たりがでてくる方も多いのではないでしょうか。こうした「ふざけ」が少しずつエスカレートし、「悪ふざけ」になっていることに気が付かず、気がついたら問題になるような事をしていたという事ですね。悪ふざけをした人を叩いて、スッキリして終わりではなく、自分の身近に「火タネ」は出来てないかを点検する機会としたいですね。

 

 琉球新報が毎週日曜日に発行している小中学生新聞「りゅうPON!」でも同じテーマを子ども向けに書いています。

 親子でりゅうPON!と琉球新報style、2つ合わせて、ネット・スマホとの付き合い方を考えるきっかけになればうれしいです。

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ 沖縄を中心に、ライター・講師・ラジオパーソナリティーとして活動中。特定メーカーにとらわれることなく、スマートフォンやデジタルガジェットを愛用する。親しみやすいキャラクターと分かりやすい説明で、幅広い世代へと情報を伝える。

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