ウミガメすくすく成長中! 美ら島自然学校


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飼育することで生態明らかに。
一般向けの体験プログラムも開催

名護市嘉陽にある「美ら島自然学校」(運営:一般財団法人 沖縄美ら島財団)では、調査研究を目的にウミガメの飼育を行っている。職員の仲松由美子さん(左)と西口峻平さんが夏に標識放流調査を控えたウミガメたちとともに撮影に応じてくれた。ウミガメの種類は左からアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ 写真・村山望

 

名護市嘉陽で沖縄の自然に関する学びを提供している「美ら島自然学校」(運営:一般財団法人沖縄美ら島財団)。施設の特色の一つが調査研究を目的としたウミガメの子どもの飼育だ。一般の利用者向けに、ウミガメを間近で見ることのできる体験プログラムも用意している。ウミガメの行動や成長を細やかに観察・記録している職員に飼育の意義について聞いた。

2009年に閉校した嘉陽小学校の校舎を利用して運営されている美ら島自然学校。敷地内の水槽ではアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイの3種のウミガメが飼育されている。取材を行った4月初旬、施設では一般向けにウミガメの「甲らみがき」体験を開催。数組の親子連れが参加していた。

ウミガメを間近に

甲らみがき体験の様子。子どもも大人も楽しみながらウミガメについて学べる

参加者が甲らみがきを任されるのは、生後約1年の仔ガメたち。4、5歳の子どもだと、かろうじて片手で持てる大きさだ。泳いでいた容器から持ち上げると、前足をバタバタと動かし、水しぶきを上げるので、子どもたちはおっかなびっくりした様子だ。

「前あしの付け根に手を添えて持つと大人しくなります。優しく甲らをみがいてあげてね」

そう説明するのは飼育を担当する西口峻平さん。ブラシを使い、甲らを掃除していくと、種類ごとの特徴に気付くことができる。西口さんは「(他2種と比べて)頭でっかちなのがアカウミガメ」「甲らがつるつるしているのはアオウミガメ」「タイマイは口先が鳥のようにとがっています」と解説を加える。最初は恐る恐る接した子どもも、作業を終える頃には仔ガメに慣れてくる。大人も普段目にする機会のない生き物に興味津々だ。

ウミガメは、飼育下では甲らに藻が生えやすくなるという。そのため、甲らみがきは定期的に必要な作業だ。美ら島自然学校では、飼育過程の一部を来場者に体験してもらうことで、観察や学びの機会を提供している。

地域の歴史引き継ぐ

美ら島自然学校で飼育されている仔ガメは、本部町の沖縄美ら海水族館で繁殖したものだ。1年間飼育し、成長させた後で放流している。海洋博公園ウミガメ館でもあわせて放流を行うそうだ。放流の際には、仔ガメの回遊ルートの調査を目的に、前あしに金属のタグを取り付け、個体を識別できるようにしている。

職員の西口峻平さんは、名護市の東海岸で、ウミガメの産卵調査も行っている(提供写真)

調査を重ねることで、アカウミガメに関しては、その回遊ルートの広さが明らかになりつつある。過去には太平洋を横断しアメリカに渡った個体も見つかった。一方、アオウミガメとタイマイに関しては、再捕獲された例がまだ少ない。今後も調査を継続することで、生態解明につなげたいそうだ。

現在、仔ガメの飼育には、地域にある緑風学園(名護市立久志小学校・久志中学校)の児童たちも参加。小学3年生を対象としたウミガメの飼育実習は、地域環境への興味関心の向上を目的に開講されている。

旧・嘉陽小学校では1991年~2009年まで、隣接する海岸で産卵するウミガメについての学習と、保護や飼育が盛んに行われていた。小学校の閉校(緑風学園への統合)に際しても、地域の人々から、活動を続けてほしいと要望があがったという。「当施設でのウミガメ飼育は、地域の学校の歴史を引き継いだ部分もあると思っています」と西口さんは教えてくれた。

放流直後のアオウミガメ。1年間飼育した仔ガメは金属のタグを取り付けて放流している(提供写真)

美ら島自然学校では、5月の連休にウミガメへのエサやり体験プログラムを企画している。貴重なウミガメとの時間は、思い出だけでなく、学びのきっかけも作ってくれるだろう。ぜひ足を運んでみてほしい。

(津波典泰)


美ら島自然学校の外観

美ら島自然学校

名護市嘉陽41
TEL 0980-55-9045

イベント情報

「ウミガメ飼育しちょんどー! 2022年生まれの仔ガメのえさやりをしてみよう!」

期間:4月29日(土)~5月7日(日)
  ※5月1日(月)は休校日
時間:①11:00~11:30
   ②14:30~15:00
料金:1回500円

※その他詳細は美ら島自然学校HPをご確認下さい。
 

(2023年4月14日付 週刊レキオ掲載)