のぞいてみよう!生き物たちの水分補給 しかたにさんちの自然暮らし(4)


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 お休みの日には、冷たい飲み物をたっぷりと用意して、近所の海へ! 海風に吹かれながら、青い海と白い波のゆらめきを眺めつつ、ユウナの木陰でのんびり…なんて、いいですよね~。

 木陰で涼む私たちのすぐ近く。潮が引いた岸辺では、強い日差しの下で次の満ち潮を待っている海の生き物たちがいます。暑くて乾燥した時間を乗り切る、特別な技を持っている彼ら。せっかくなので、その暮らしをちょっとのぞいてみませんか。日なたに出るのはイヤ!なんて言わず、まずは帽子をかぶり、日傘を差して、水分補給をしたら、さあ行きましょう。

 木陰から出てすぐの、あまり潮につからない岩場や、人工護岸であればテトラポッドのある辺り。こんな、ほとんどの時間は干上がっている場所にも、数多くの巻き貝たちが暮らしています。岩の隙間やコンクリートの割れ目を探すと、数え切れないほどびっしりと、白黒まだら模様の巻き貝、ゴマフニナが集まっています。暑い時は、湿った日陰でじっとしたまま。1匹つかまえてみると、驚いた貝は慌てて殻の奥の方に引っ込み、その勢いで殻にためてあった海水がにじみ出て来ます。ちゃんと水分を確保しているのですね。

岩からの熱を避けて、他の貝の上に登って休むイボタマキビ

 日の当たる所に集まっているのは、2列の白い点々が貝殻を取り巻くイボタマキビ。1センチほどの小さな巻き貝です。彼らの得意技は、暑い時に他の貝の上によじ上ること。殻を立てた状態のまま、粘液で貝殻を固定し、完全に貝殻の中に入ってふたをします。こうして、少しでも焼けた岩から離れ、日に当たる面積を減らし、乾燥に耐えているんです。

 私たちも、大人より子どもの方が地面に近い所に体があるので、子どもの熱中症には十分に気をつける必要がありますね。さらに子どもは、体が小さく水分の絶対量が少ないので、こまめな水分補給が重要なんです。

貝殻を少し浮かせ、風を通して暑さをしのぐコウダカカラマツ

 さて、もう少し海の方に歩いて行くと、岩の表面にぴったりと張り付いて暮らす、平たい形の貝がいます。コウダカカラマツや、カサガイの仲間です。彼らはふたを持たない代わりに、大きな足で岩に張り付き、貝殻をぴったりと岩に押し付けて身を守っています。手では絶対にはがせませんし、台風の強い波が当たっても、流されることはありません。そんな彼らも、真夏の強い日差しと暑さにはかなわないようで、あまりに暑い時は貝殻を少し持ち上げて風通しをよくしています。一見涼しそうですが、そのまま時間がたてば干からびてしまいますから、命がけで暑さに耐えているのでしょう。

 そろそろ喉が渇いて来たので、木陰に戻って休憩しましょうか。

 私たちはすぐに干からびてしまうことはありませんが、汗をかきすぎて血液ドロドロになるのはやはり危険。また一度にたくさん水を飲んでも、一気に全部は吸収しないそうです。夏の間は、喉が渇いてなくても、定期的に水分補給する習慣をつけておくと安心ですね。そのためにも、お出かけにはマイボトルをお忘れなく!

鹿谷法一(しかたに自然案内)
 しかたに・のりかず 琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島生まれ。海に憧れて沖縄に来て、もう30年以上。専門は甲殻類。生物の形と機能の関係に興味がある。趣味は本とパソコンとバイクいじり。植物を育てるのも好き。