先日、ちょっと出掛けている間に、台風13号が発達して急接近。ベランダのグレープフルーツの植木鉢をひっくり返し、ブーゲンビレアの葉っぱをむしり取ってしまいました。雨が吹き込んだベランダの床や窓には、飛び散った葉っぱがペタペタ。葉っぱは乾くと取れなくなるので、急いでホースで水をかけてベランダ掃除です。掃除して集まった葉っぱや土は、ハーブを植えた大きめのプランターにポンと載せました。こうしておけば、ゆっくり分解されて、いずれは腐葉土に生まれ変わります。腐葉土は養分や水をたっぷりと保つことができるので、大きめのプランターなら水やりは時々でも大丈夫。乾燥と日当たりが好きなハーブなら、真夏の沖縄でもそうそう枯れることはありません。少ししおれても、水をあげればすぐ復活!
沖縄のベランダで育てやすいハーブは、乾燥に強いローズマリーやセージ。苗を買ってきて育てることもできますが、挿し木でもよく増えます。うちのローズマリーは、剪定(せんてい)された小枝をもらってプランターに挿しておいたもの。これもひとつの「リサイクル」かな?
ほかに挿し木で増えやすいのは、バジル、ミント、オレガノなど。特にバジルとミントは、長さ10センチくらいをコップの水に生けておくだけで、数日すれば根が出てきます。あとは、好みの植木鉢に植えればOK。料理用の生のハーブを買って使い切れない残りや、茎の部分を捨てずに生けてみてもいいでしょう。同じハーブでも、株によって香りが微妙に異なりますから、気に入った香りの株を見つけて増やしてみても良いですね。
挿し木が大きく成長してきたら、取り木もできます。オレガノは、長い茎の途中に土をかぶせて埋めておくと、そこから根が出ます。根が伸びてきたら、切り離して新しい植木鉢に植えましょう。茂り過ぎたら刈り取って日陰で乾燥させ、葉っぱだけ冷蔵庫で保管しておけば、手軽にパスタやサラダにつかえます。
最近気に入っているのは、ワイルドルッコラ。こちらは、明るい半日陰くらいの場所に植えてあります。種から育てると収穫まで時間がかかりますが、強いゴマの香りとピリッ!とした辛さは、毎日のサラダのアクセントになります。柔らかい新芽の部分を摘み取れば、脇芽が伸びて枝分かれし、葉っぱが増えていきますよ。
日本のハーブと言えるミツバも育ちます。お正月のお雑煮に使ったミツバの根っこを植えておいたら、夏前に花が咲き、夏には種ができました。9月になった今も、グレープフルーツの木陰で元気に葉を茂らせて、時々料理に添えて楽しんでいます。日陰ならニラもおすすめ。露地栽培よりも柔らかい葉っぱが伸びてくるので、炒めても食べやすい。これも、根っこ付きを買って増やしました。
ちなみにグレープフルーツは、国産のものを手に入れて、食べたあとの種を植えてから3年目。丈は2mに届きそう。
野菜やハーブの「リサイクル」って、結構楽しいんですよ。
鹿谷法一(しかたに自然案内)
しかたに・のりかず 琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島生まれ。海に憧れて沖縄に来て、もう30年以上。専門は甲殻類。生物の形と機能の関係に興味がある。趣味は本とパソコンとバイクいじり。植物を育てるのも好き。