沖縄で潮干狩り 浜下り(ハマウイ)を楽しむ3つのキホン しかたにさんちの自然暮らし(20)


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 4月、沖縄では海のシーズンが始まります。観光客にとっては日本一早い海開き、ウチナンチュにとっては旧暦3月3日の伝統行事「ハマウイ(浜下り)」ですね。

 ハマウイは、砂を素足で踏み、海の水に浸かることで、女性が身を清めるという言い伝えが元と言われますが、近年は家族で潮干狩りを楽しむ姿が多く見られます。そこで今回は、安全に潮干狩りを楽しむ基本中のキホン3つをご紹介しましょう。

キホン1:潮の満ち引き 新聞やネットで事前チェックを

浅瀬に広がるサンゴは踏まないで!

 潮干狩りには、日中に潮が大きく引く大潮から中潮にかけての日が向いています。日々の潮や干潮の時刻は新聞やインターネットでも調べられますし、釣具店で100円程度の年間潮位表を入手できます。

 気をつけてほしいのは、サンゴ礁は沖の方が干上がっていても、岸の方が先に水没しがちなこと。潮干狩りに夢中になって、ふと気づくと周りが海に戻っていた、というのは怖いですね。安心して海で遊べる目安は、干潮の時刻を挟んだ2時間程で、このとき潮の動きがほぼ止まります。干潮が13時であれば、12~14時の間です。できれば少し早めに海に行って、潮が引くのに合わせて沖まで歩き、干潮の時刻を過ぎたら岸に戻り始めるくらいがおすすめ。

 なお沖縄では、太平洋側と東シナ海側で、潮の動きが約30分ずれます。太平洋から海の動きが伝わってきて、東シナ海に回り込むんです。例えば泡瀬の干潮が12時なら、南城市の奥武島で12時15分、那覇で12時30分という具合。これに気をつけて計画を立ててくださいね。

キホン2:アンボイナやオニダルマオコゼ 危険生物に気をつけて

 サンゴ礁には危険生物はたくさんいますが、潮の引いたサンゴ礁で気をつけたいのが、イモガイ類、ヒョウモンダコ、オニダルマオコゼ。特にイモガイ類は干潟や浅瀬で普通に見られ、模様も形もきれいな巻貝なので、獲りたくなりそう。

 でも、この貝の扱いを知っている人以外は触らないでください。三角形の巻貝の細くなった方から吻を長く伸ばして、毒針を発射します。アンボイナのように毒が非常に強い種類もあるので、図鑑などで形を覚えておいてください。

 ヒョウモンダコは数cmの小さなタコですが、青い輪っか模様が目印で噛まれると猛毒。絶対に触らないこと。

 これらについては県の冊子「気をつけよう!!海のキケン生物」が参考になります。

イモガイの仲間。なんと左の貝が右の貝を襲っているところ。
岩の裏側に、タカラガイが卵を抱いていました。だから、ひっくり返した岩は必ず元に戻してあげて!
とてもかわいいベニヤカタガイ。でも、中にヤドカリが住んでいたら持ち帰らないでね。

キホン3:島ぞうりは危ないぞ 海にふさわしい服装を

 海でも山でも、自然の中に入るときには、その環境に合った服装や準備をすれば、快適で安全に過ごせます。

 海やビーチというと、サンダルや島ぞうりで行きたくなりますが、潮干狩りの場合はNG。サンダルは濡れると脱げやすく、尖ったサンゴやウニから足を守れません。そして、砂地や岩陰に潜むオニダルマオコゼの背びれにある頑丈な毒針は、島ぞうり程度のゴム底を突き通してしまいます。

 何度も海に行ったりよく釣りをするなら、靴底がフェルト製のマリンシューズがおすすめ。岩場でも滑りにくく、尖ったものが刺さりにくいです。これも釣具店やダイビング器材のお店などで手に入ります。

 また、海は陸上よりも風が強いので、春は薄手の上着が一枚あると体が冷えなくて済みます。

 海は楽しいところ、豊かな幸の得られるところ。そんな思い出を作るためにも、必ず基本の3つを実践してほしいなと思います。そして、潮干狩りは野生の命を分けていただくこと。岩をひっくり返したら元に戻す、小さい獲物は逃す、獲り過ぎないなど、マナーを守った潮干狩りも心がけてくださいね。

鹿谷麻夕(しかたに自然案内)

 しかたに・まゆ 東洋大、琉球大卒。東大大学院中退。東京で生まれ育ち、20代半ばで文系から理系に転向、沖縄に来てサンゴ礁を学ぶ。その後、しかたに自然案内を主宰し、県内で海の環境教育を行う。本と音楽と野良猫を好む。