沖縄の海を楽しむ! おすすめの自然海岸2選(沖縄本島中南部編) しかたにさんちの自然暮らし(23)


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 梅雨明けはもう少し先ですが、晴れれば夏の暑さを感じる季節になりました。そこで今回は、海遊びにおすすめの、沖縄島中南部から行きやすい自然海岸をご紹介します。

東屋から見た大度の海。浅いイノーの中は穏やかです。

その1 サンゴ礁にイノー、自然海岸の魅力がそろった大度海岸(糸満市)

 おすすめの1つ目は、糸満市の大度海岸。28台ほどの駐車場に東屋が1つ。トイレもあって、自然海岸の初心者にも安心です。海を眺めると、沖の方には白波が砕けるサンゴ礁、その内側にはエメラルドグリーンの浅いイノー、海岸には砂浜や岩礁もあって、さまざま自然環境がコンパクトに揃っているのが特徴です。

 そのため、全体としてさまざまな生き物を観察することができます。砂浜には天然記念物のオカヤドカリ類もたくさんいます。夏の大潮の干潮の時間なら、沖のサンゴ礁まで歩いて行くことも可能。ここはスノーケリングやダイビングスポットとしても有名ですが、流れが速い所もあるので、泳ぐ時は十分に注意してください。

 もちろん危険な生き物も暮らしていますから、装備は万全に。沖縄県のウェブサイトからは『サンゴ礁の磯-大度海岸-自然観察ハンドブック』がダウンロードできます。海に行く前の準備、海岸の地形、生き物が見られる場所、生き物図鑑、自由研究のネタ、海岸利用のマナーなどが載っていますから、事前に目を通しておくと良いでしょう。

 気をつけて欲しいのは、夏の夜はウミガメが産卵にやって来ること。ウミガメは光や音に敏感なので、夜に騒いだり花火で遊ぶのは控えるようにしてくださいね。

 

その2 生きている星砂が見つかるかも ポケットビーチが連なる真栄田岬(恩納村)

海岸林を抜けると、独特の景色が広がります。岩の左手には広いイノー。

 2つ目は、恩納村の真栄田岬。こちらもダイビングスポットとして有名で、整備された施設には広い有料駐車場があり、売店やシャワーも利用可能です。この駐車場に車を止めて、サトウキビ畑沿いの道を西向けに歩いて行くと、海岸林を抜けた先には小さなポケットビーチがいくつか連なっています。

 こちらのビーチは大度より浅いイノーが広がっています。岸の近くには大小さまざまな潮溜まりがあって、サンゴや、サンゴ礁で暮らす生き物を間近に観察することもできます。海藻の表面をよく見ると、生きている星砂を見つけられるかもしれません。砂浜にはきれいな貝殻や星砂の殻がたくさん打ち上げられているので、じっくり探してみてくださいね。

沖のサンゴ礁には、深い割れ目もあります。

 貝殻や星砂に混ざって、ビーチグラスやシーグラスと呼ばれる、ガラスのかけらが見つかることもあります。これは、捨てられて割れたガラス瓶のかけらが長い年月をかけて波と砂で削られて、かどのとれたすりガラスになったもの。光に透かすととっても綺麗です。実は、これを集めてアート作品にしている方がいます(5月22日から3週間、那覇市天久の沖縄銀行で作品展を開催)。イルカやウミガメ、ジンベイザメやマンタなど、海の生き物をテーマにした大きな作品は、光の海を泳いでいるよう。

 でも、本当はポイ捨てされたごみなんですよね。シーグラスアート作家でカフェをやっているハルナさんも、海のごみに心を痛めています。いくらビーチグラスが綺麗だからといって、海で遊んだ後に危険なガラスを海に捨てて帰るなんてことは、みなさんしないでくださいね。

 

鹿谷法一(しかたに自然案内)

 しかたに・のりかず 琉球大卒、東大大学院修了、博士(農学)。広島生まれ。海に憧れて沖縄に来て、もう30年以上。専門は甲殻類。生物の形と機能の関係に興味がある。趣味は本とパソコンとバイクいじり。植物を育てるのも好き。