2019年も残りわずか。就職・転職活動をしている方は「来年こそ、自分らしく働ける仕事に出会いたい!」と奮闘されていることでしょう。人材不足・人手不足と言われている昨今。いま、沖縄ではどれくらいの人が仕事を探しているか知っていますか?公共職業安定所(ハローワーク)に登録されている沖縄県内の有効求職者数は、2万5000人を超えています。
この数字は、私が沖縄県内で採用難に苦しむ事業者向けのセミナーを行う時に必ずお伝えする数字です。「人手不足で大変だ~!」と言っている経営者の方でも、労働局のHPに掲載されているこの数字に、驚かれています。
今、この時も、沖縄県内に少なくとも2万5000人以上の人が仕事を探しにハローワークに登録している。もちろん、就転職活動をする人が必ずしもハローワークに行くわけではないこと考えると、本当に今、沖縄は人手不足なのでしょうか?
◇執筆者プロフィル
小宮 仁至(こみや ひとし) ファンシップ株式会社 代表取締役
広告会社やWEBマーケティング会社を経て、2015年にファンシップ(株)を創業。2016年より「レンアイ型採用メソッド」を提唱し、企業へのセミナーや求職者への採用支援を実施している。1979年生まれ 熊本県出身。うちな〜婿歴11年の2児の父。
人手不足の企業がなぜか上から目線だという謎
私は沖縄で、採用の専門家としてこれまで300社以上の企業のご相談に対応させていただきました。その経験上、いつも感じることがあります。
それは、人手不足で困っているのは雇う側のはずなのに、どこか求職者に対して上から目線なのです。
私はこのことをよく「恋愛」に例えてお伝えするようにしています。
例えば上記の2万5000人も求職者がいる状況。これを恋愛に例えると…
「2万5000人も結婚相談所に登録しているお相手がいるのに、結婚できない!相手がどこにもいない!人口が減っているから何もできない!」
と言っているようなものです。
もしそう言っている友人がいたら、あなたはどうアドバイスしますか?
「いやいや、そんな風に嘆いている暇があったらデートの1回でもできるように何か行動したら?」などとアドバイスしませんか?
まさに人手不足の企業もこんな感じではないかと思うのです。ただ現状を憂いてばかりで、実は採用に関して具体的な行動1つしていないことが多いのです。
さらにもう1つ恋愛に例えてみましょう。
たくさんのお金をかけて求人広告を出して、「急募!急募!」と書いて何とか、応募してくれた人に対していきなり面接の場面になったら、
「で?うちの会社を志望した動機は何ですか?」
って聞くのっておかしくないですか?
LINEやメールで自分から好意を示して何度も誘い、ようやくデートにこぎつけておいて、その初デートの場面でいきなり
「で?僕となんでお付き合いしたいと思ったの?答えて。」
って聞いているようなものだと思いませんか。
もう言っていることもやっていることも無茶苦茶ですね。
ツッコミどころが満載、だと私は思うのです。
雇う側は人手不足で困っているのに、求職者に対して上から目線…不思議な現象だと思いませんか。
自分らしく働ける仕事に出会うためにできること
さて、そんな状況で働く側のみなさんとしては今後どんな就転職活動をしていけばよいのでしょうか?
「今後こそ、相性のいい会社に勤めたい!」
「でも、履歴書の長所・短所の欄でいつもペンが止まっちゃう」
「面接の時にいったい何をアピールすればいいのか、分からない…。」
このようなことを思ったり、悩んだりしている方にもお伝えしたいことがあります。
それはズバリ、受け身の就転職活動は止めて、こっちからアタックしていこう!
ということです。
上述のような、雇う側の姿勢や考え方がある以上、ここ数カ月以内に新しい職場に移りたいと思っているアナタには、その実情を憂いている暇はありません。
つまり、雇う側の求人情報をうのみにしていたら、いつまで経ってもあなたらしく働ける職場や仕事には出合えないということです。なにせ、相手が〝上から目線の勘違い男〟みたいな場合もあるのですから。
気遣いができて
辛い時も笑顔で
そこにいるだけみんなが明るくなる華もあって
でも言われたことは文句も言わず黙々とやって
隠れた努力を惜しまず
業務に関しては経験者で
教える必要はほぼなくて
わからないことは聞いてくれて
会社が苦手なSNSの発信も業務外にやってくれる子!
で、給料15万!!
みたいなこと平気で言っちゃいます。
「いないわ!」
「夢見てる??」など、
いろいろなツッコミが聞こえてきそうですよね・・・。でもこのような上から目線の採用をやってきたのがこれまでの日本企業、これまでの日本の働かせ方、なんです。もちろん一部の企業や経営者は気づいていますが、まだまだ多くの企業が気づいていません。雇う方=お給料を払う方が絶対的に選ぶ権利がある、そう思い込んでいるのです。
自分の当たり前を〝ビジネス〟に変えるチャンス
人手不足というのは、働く側にとって悪いことばかりではありません。
むしろこれから就転職をする人にとっては大チャンスな時代です。
雇う側と雇われる側が、フラットな関係になる非常に面白い時代なのです。
この時代が変化している中、ただ「お給料とお休みが前の会社より多い会社に選んでもらう」という就転職をするのか?それとも成長の機会と、飛躍のチャンスがある会社に「あなたの会社に私はこういう価値をもたらすことができる」と自分をしっかりアピールするのか?
それができるかどうかが、自分らしく働けるかどうかの大きな分岐点になります。
例えば、上述の「会社が苦手なSNSの発信」を業務外でやらせる会社は、ブラックですが、同じ悩みを抱えている会社は他にもいっぱいあって、業務委託契約して、そこだけやってくれるなら「月5万払います!」という会社はあります。
1人雇用するほどではないから、手を付けていないけど月5万ならやって欲しい。という仕事は中小企業にはた~くさん眠っています。そして特に人手不足の企業は、そういう提案を待っています。
雇う側の変化を待つのではなく、働く皆さんが先に変化した方が断然早い。私はそう思っています。
変化が著しく、スキルや経験の細分化が激しい現代。
そんな時代には「どんな会社にでも通用する万能スキル」なんて身につける必要、本当にあるのでしょうか?そんなスキル、存在するのでしょうか?逆に言うと1つの会社、1つの仕事が、社員1人が持つスキルや才能を全て活用できることは、まずないと言っていいでしょう。
A社では、活かせないあなたのスキルや才能も、B社に行けばまさに今必要としている救世主のような存在になることだってあります。
そのことを踏まえて、ある人は転職をしてもいい、ある人は副業をしてもいい。また複数の会社と契約を交わし複業をするフリーランスになってもいい。
これからは国家資格を取ることだけがキャリアアップではなくなります。
「え?私のこんな経験が、こんなに喜ばれるの?」という時代になっています。
例えば、これまでコールセンターと中小の建設会社で総務としてのキャリアがある方の場合。
最近の若い人は電話の取り方すら知らないし、その経験もないので「電話」にものすごい抵抗があります。電話応対がメインの業務ではない仕事の場合、新入社員に電話対応をわざわざ教えるノウハウやマニュアルはなくて困っています。わざわざ全社的な課題にすることもないけど、毎日ちょっとしたトラブルやイライラが社内に漂ったりしています。
そんな時こそチャンス!ありきたりな「マナー研修講師」に頼るのではなく、中小規模の建設企業に絞った「下請けさんに愛されるためのちょっと気の利く電話対応の講座」なんてやってみるとどうでしょう。これまでアナタが当たり前だと思っていたキャリアが、一瞬で多くの企業に有難がられるスキルとして輝きだします。
ぜひ、このようにこれまでの自分のキャリアや経験を棚卸して、自分から売り込む気概を持って自分らしく働ける職場や仕事に出会ってください。
2020年は、働く人こそが主体の本当の「働き方改革」がここ沖縄からたくさん生まれることを願っています。
執筆者プロフィル 小宮 仁至(こみや・ひとし)
ファンシップ株式会社 代表取締役
「レンアイ型採用メソッド」「レンアイ型就転職コンサルタント」として、商工会議所など公的機関でのセミナーを随時開催し、2016年以降1000社以上が受講。就・転職者向けセミナーや個別相談300件以上、中小零細企業向けの採用コンサルティングでは個別相談企業300件以上、契約企業で6カ月以内の採用成功率は87%。沖縄県商工会議所連合会エキスパートバンク登録専門家、沖縄県産業振興公社登録専門家。1979年生まれ 熊本県出身 2002年より沖縄移住。うちな〜婿歴11年の2児の父。