挑戦してわかった 私にとっての「働く」ということ ロックダウン世代になった就活生のリアル(18)


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琉球新報Style初となる、学生ライターによる連載が始まります。その名も「ロックダウン世代になった就活生のリアル」。
新型コロナウイルスの感染拡大によって、インターンや採用試験もオンラインへ移行するなど、就職活動も今までと大きく様変わりしています。そんな新しい日々を手探りで進む学生の皆さんのリアルな感情や、葛藤などを体験記として記していきます。

こんにちは。学生ライターの平良真美です。7月に入り、早いもので今年も残り半分となりました。前回の記事では就職活動に戸惑いを感じた私が、留学生に海外の就職活動について尋ねたり、好きな活動をしている大学生と出会った話について書きました。今回はその後、私が決意して挑戦したあることと、そこで気づいた私にとって働くということについてお話します。

 

自分がやりたいことを言語化できない

「私がやりたいことって何なんだろう?」    

キラキラした目で好きなものや想いを話す同級生の姿を見て、私はやりたいことをうまく言語化できていないことに気づきました。企業の話を聞いて仕事内容は理解できるけれど、自分が実際に働いている姿をイメージできなかったのです。

コロナで見つけた私の新しい挑戦

「あと1年後には社会人になるのに、働く姿をイメージできないのはヤバい…」

正直焦っていましたが、このままでは就職活動を続けていても何も解決しません。外に目を向けてもわからないなら、視点を変えて内側を見つめてみることが大切です。そこで初めに、これまでの学生生活を振り返って見ることにしました。

振り返るときのポイントとしては、この4年間で何をしているときが楽しかったかという点です。まずは、ノートに思いついたことを書き出してみます。書くことは「友達と話しているとき」や「バイトをしているとき」など何でも構いません。しかし、なぜ楽しかったのかがわかるように、できるだけ具体的に書くことが大切です。

ノートにざっと書いてみたところ、私の場合、大きな出来事が3つ挙げられました。1つ目は、大学1年生のときにシンガポールでインターンをしたこと。日本の魅力を海外に伝えるメディア企業に訪れ、何かを発信することって楽しいと感じました。そして、2つ目は2年生のときに美女カレンダーを制作したこと。モデルになりたい女の子を募集して撮影し、自分たちが一生懸命作ったカレンダーを学園祭で販売しました。モデルや購入してくれた人に、喜んでもらえるのがとても嬉しかったのを覚えています。そして3つ目が、県内で発行しているフリーマガジンの制作に関わったこと。部活生を取り上げて紹介するという内容で、小学生や中学生にインタビューし、自分の言葉で記事にできたときはすごく達成感がありました。

これまでを振り返ると、1年生と2年生は頑張ったこと、楽しかったことがすぐに思いつきました。しかし、3年生からはあまり書けるものがないと気づいたのです。私たちロックダウン世代の大学生にとって、切っても切り離せないものが新型コロナウィルス。参加するはずだったインターンや講義室で皆と過ごす時間など、2020年から当たり前の大学生活が失われていきました。

初めは「コロナだから仕方がない」「コロナが収まったらきっと元に戻る」と考えていましたが、この状況は一体いつ変わるのでしょうか?大学では未だにオンライン授業があり、今年も学園祭などのイベントができるか分かりません。そう考えるとだんだん悔しさが募り、いても立ってもいられなくなりました。

「このままでは終わりたくない」

コロナに日常を奪われた悔しさと学生生活を振り返って得た気づきを踏まえ、あの輝いていた同級生のように、好きなことを自由にできる場所を作ることに決めたのです。せっかくなら私のこれまでの経験を活かしたい。コロナ禍で同じように苦しんでいる大学生を支援したい。このように考えた私は、大学生のためになる情報を発信するフリーマガジンを作ることにしました。あと1年で卒業というタイミングで決めた、新しい挑戦でした。

挑戦してわかった、私にとって働くとは

フリーマガジンを作りたいと決心した私ですが、一人では作ることができません。そこで、一緒に協力してくれる仲間をSNSで呼びかけ、集まったメンバー3人でどのような情報を載せるかなどを話し合い、プロジェクトはスタートしました。

現在は協力してくれるメンバーも6人に増え、引き続き制作を進めています。制作作業は、正直自分が想像していたよりも大変ですが、今までできなかった経験ができています。編集ソフトを試行錯誤しながら使ってみたり、助成金を申請するために事業計画書や収支予算書を作成したりなど、協力してくれる仲間を含め、多くの人に助けてもらっています。

これまでの学生生活や今回の挑戦を通して、1つわかったことがありました。それは、私は表現したり、集団で何かを成し遂げることが好きだということ。この価値観を軸として、このようなワクワクすることを今後もやっていきたいと思うのです。また、フリーマガジンの制作に取り組んでいるうちに、「働くとはどういうことなのか」がわかった気がします。私は今、用意できた資金の分だけ、価値があるフリーマガジンを作らなければなりません。そして、その価値を周りに評価してもらう必要があります。プレッシャーを感じながら制作するうちに、「私にとって働くとは、価値を生み出し、それを提供すること」だと気がつきました。挑戦を通し自分の価値観が明確になったことで、今では働くことがイメージできるようになったのです。

自分はどう生きたいのか

就活で何かモヤモヤしたり止まっている人は、もしかしたら自分の軸がまだ明確になっていないのかもしれません。そんなときは軸を言語化するために、何か始めてみるのもおすすめです。そして、やりたいことがあるのなら、やれる環境を自分で作ってしまうのも選択肢の1つではないでしょうか?就活でいっぱいいっぱいになってしまったら、少し視点を変えてみてください。私も、どの企業に行きたいかよりもどう生きたいのかを考え、就活を進めたいと思います。

プロフィール 
平良真美。
沖縄国際大学英米言語文化学科3年。海外旅行大好き人間(とくにアジア)。就活を始めたばかりの超ド新規。今は将来について、色々なことを通して日々模索中!コロナ禍で奮闘する学生に、共感してもらえたら嬉しいです!