環境先進都市「グリーンシティ」と呼ばれる米オレゴン州のポートランド。住民らは環境保全に対する意識が高く、日常生活から環境に配慮した取り組みを実践している。
例えば、公共交通機関や自転車での通勤や通学、マイマグボトル(水筒)の持参などが盛んに行われている。こうしたさまざまな取り組みで、ポートランドは持続可能な社会を目指している。
ポートランド出身のチャールズ・コベルさん(34)はこう話す。「私たちには、3R(スリーアール)という環境配慮に対するキーワードがある。それは、リデュース(減らす)、リユース(再使用)、リサイクル(ごみの再生利用)だ」。チャールズは、過度に包装されている商品を買わないことや、屋台でもらった弁当箱の再使用など、環境配慮のための取り組みを一つ一つ積み重ねているという。
また、近年ポートランドでは自宅でニワトリを飼育することも人気だ。私の同居人のマット・ステュワートさん(33)とクリスティン・モリスさん(33)も昨年4月からニワトリ2羽を飼い始めた。「ニワトリはただ卵を生んでくれるだけでなく、私たちの食べ残しも処分してくれる。ごみを減らすことにもつながる」とクリスティン。今年の3月下旬、2人はさらに2羽を購入した。
二酸化炭素の排出量を抑制するため、公共交通機関や自転車で通勤と通学する人も多い。雨の日でも、気温が氷点下の寒い日でも、町中で自転車に乗る人を必ず見掛ける。
彼らは必ずしもポートランドに住んでいる人ではなく、郊外から公共交通機関を利用しながら、市内へ通う人がほとんどだ。そのため、ポートランドの路線バスや電車は自転車を置くためのサイクルラックなどを装備し、町中も自転車専用レーンが整備されている。図書館や銀行、映画館などもほとんど自転車置き場が設置されている。
私は、毎日路線バスと電車を使って片道1時間かけて通学している。だが車内で本を読んだり、勉強したりするなど通学時間を効率的に利用できている。振り返って那覇での勤務時は、普段車で10分での場所が通勤渋滞に巻き込まれると3倍の時間がかかった。持続的な社会を目指すために、沖縄がポートランドから学ぶことは多い。
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「全米で一番住みたい街」といわれるオレゴン州ポートランド。各種施設や住宅が集中したコンパクトシティーであること、公共交通機関の充実やユニークな個性を尊重する空気などが理由だ。ポートランドの人々の価値観からウチナーンチュが学ぶものもあるはず。留学中の記者が日々の暮らしで気になったことを報告する。(随時掲載)
プロフィル
呉俐君(ウ・リジュン) 1983年、台湾・高雄市出身。2012年に琉球大学で社会学博士学位を取得し、同年琉球新報社へ入社。経済部記者などを経て、昨年9月より社内留学制度を活用して米オレゴン州のポートランド州立大学で英語を学んでいる。