国内の行政法研究者93人は23日、翁長雄志知事の名護市辺野古の埋め立て承認取り消しに対して、沖縄防衛局が行った行政不服審査法に基づく審査請求・執行停止申し立てに反対する声明を発表した。行政法研究者が連名で一般国民に向けて意見表明するのは極めて異例。声明は審査する国土交通相に対して、審査請求・執行停止申し立ての却下を求めた。
声明は「固有の資格」(一般私人が立ち得ない法的状態)を持つ行政機関が審査請求することは行政不服審査法で想定されていないと指摘し、「この審査請求は不適法であり、執行停止の申し立てもまた不適法なもの」とした。
国の行政機関でありながら審査請求などをした防衛局を「『私人』になりすまし」たと表現し、同様に国の機関である国交相が「恣意(しい)的に執行停止・(審査請求の最終判断である)裁決を行おうというもの」と指摘。一般国民の権利救済制度である行政不服審査制度を用いる政府の手法を「不公正であり、法治国家にもとるものといわざるを得ない」と批判した。
呼び掛け人の一人、龍谷大学の本多滝夫教授は「今回は制度の乱用を放置できないとの思いで声明を出した。承認取り消しの適法性などはこれからの研究課題なので、今後の取り組みは未定」とする。一方で「研究を積み重ねた結果、県の主張とわれわれの考え方が一致するならば、県と国の法廷闘争になった際に何らかの支援をすることも考えられる」と述べた。