人体に有害とされる有機フッ素化合物(PFAS)が米軍基地周辺の地下水などから高い値で検出されている問題で、汚染状態は依然高い傾向が続いている。県環境保全課は14日、2022年度冬季残留実態調査の結果を公表した。調査した44地点のうち30地点で国が定めた暫定指針値(1㍑当たりPFOSとPFOAの合計50ナノグラム)を超える値が検出された。最も高かったのは嘉手納基地周辺の屋良ウブガーで1800ナノグラムで、暫定指針値の36倍となった。
超過地点について県は飲み水に使用しないよう関係自治体や自治体に周知している。
調査結果では、普天間飛行場周辺で20地点のうち11地点、嘉手納飛行場周辺で13地点のうち12地点、キャンプ・マクトリアス周辺で7地点のうち4地点、キャンプ・ハンセン周辺で3地点のうち2地点、キャンプ瑞慶覧1地点で暫定指針値を超えた。
超過地点のほとんどが基地の下流に位置し、普天間と嘉手納の両飛行場周辺の湧水などにおける汚染について、県は「両飛行場が汚染源である蓋然性が高い」として、国や米軍に対し立ち入り調査や原因究明を求めていく方針。
基地周辺の汚染源を巡っては、市民団体が独自に基地周辺の土壌調査を実施したり、汚染源の特定を求める活動を国内外で続けている。
玉城デニー知事は13日の記者会見で、米軍基地周辺の水や土の汚染問題に関連して「不安を払しょくするために(市民団体が)活動していることは承知している。どのような連携を構築していくかについては今後検討していきたい」と話していた。
環境省が暫定指針値を設定した20年度以降では、超過した地点は30~38地点の範囲で増減している。22年の夏季調査では46地点中32地点が超過した。
県は16年度に全県の主要河川や湧水、井戸水のPFAS調査を行い、17年度から基地周辺で調査を続けている。
県は本年度、残留実態を把握するために基地周辺以外の宮古や八重山地域も含めた全県的な水質と土壌の調査も実施する方針だ。
(慶田城七瀬)