県、新たに国を提訴 辺野古承認取り消し停止


この記事を書いた人 志良堂 仁
訴状提出のため福岡高裁那覇支部に入る県弁護団の加藤裕弁護士(右)ら=1日午後2時、那覇市樋川の福岡高裁那覇支部

 翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消しを国土交通相が執行停止決定したことをめぐり、国地方係争処理委員会が県の不服申し出を却下したことを受け、県は1日午後、国に執行停止の取り消しを求めて福岡高裁那覇支部に提訴した。承認取り消しをめぐる県と国の訴訟としては3件目となる。第1回口頭弁論は代執行訴訟の弁論が開かれる2月15日に開かれる予定。

 国地方係争処理委員会の結論を不服として、地方自治体が高裁に提訴するのは2000年の係争委設置以来、初めて。翁長知事は「淡々と県の主張をしっかりやっていきたい」と述べた。
 訴状で県は、沖縄防衛局が一般私人にはできない「固有の資格」で辺野古の埋め立て承認を申請したと主張した。「固有の資格」がある行政機関は私人の権利利益の救済を目的とした行政不服審査法(行審法)を用いることができないとして、防衛局による行審法に基づく執行停止申し立ては不適法とした。そのため不適法な申し立てを認めた国交相の執行停止決定を違法と主張している。
 一方、執行停止決定自体を「実質的に、(承認取り消しの取り消しを求める)代執行手続きの仮執行に相当するもの」だと指摘した。地方自治法には国の地方自治体に対する関与の手段には、自治体の行政処分の効力を停止する手段は定められていないなどとして「(執行停止は)行審法を目的外利用した行政権の乱用」で違法だとした。
 県は2015年11月、執行停止決定の適否判断のため国地方係争処理委員会に審査申し出を行っていた。係争委は「審査対象に該当するとは認められない」として、同12月28日付で県の申し出を却下していた。
英文へ→Okinawa Governor files lawsuit countering Japanese government’s decision to suspend his revocation of landfill permit