国の提訴「知事が同意」 認識隔たり対立再燃


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

知事「世論操作だ」
菅氏「一つ一つ確認」

 【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡り、再び裁判闘争に突入することになった県と国の間で言葉の応酬が飛び交った。菅義偉官房長官が21日の会見で、同日の政府・沖縄県協議で国が県を再提訴することなど4項目を伝えた後、「翁長雄志知事から異存がないと発言があった」と説明したことに対し、翁長知事は25日、「世論操作をしないでほしい」と厳しく批判した。菅氏も25日の会見で「私は4項目を一つ一つ確認した」と再び反論した。県と政府の認識はすれ違い、裁判闘争への再突入とともに対立も再燃している。

 菅氏が指す4項目は(1)知事の埋め立て承認取り消しに対する国の是正指示に対し県側が提訴しない(2)和解条項は有効(3)確定判決に従う(4)政府と県との協議継続―の4点。菅氏が21日の協議会で翁長知事に対して見解を求めたという。

 翁長知事が4項目全てに同意したとなれば、今後の新基地建設問題に影響を与えかねないが、協議会直後の会見で政府の対応を即座に批判した。「訴えが可能となる日を待っていたかのように直ちに提訴する判断が示されたことは非常に残念だ」と厳しい言葉を並べた。

 翌22日には菅氏が会見で、翁長知事の「残念だ」との発言に「私から言わせれば翁長知事がマスコミの皆さんの前でそのような発言をすることが極めて残念だ。協議会とは全く違う」と反論し、協議会で知事から異論はなかったと強調した。

 翁長知事は菅氏が協議会の最後の発言で「国が県を提訴する」旨を説明したことに対して、既に「提訴の意向」を伝えられていたことから同意したと説明した。渉外知事会の要請で、協議会に同席していた中谷元・防衛相に対し「世論操作をしないでほしい」と説明した。中谷氏は沈黙していたという。

 協議会は報道陣に公開される冒頭部分では両者のやりとりはなく、内容を確認するのはその後の出席者による記者会見などに限られている。和解条項などの解釈は今後の新基地建設計画の行方を左右するだけに、県と政府の間で食い違いがないか確認も必要になりそうだ。