世界初、カキを陸上養殖 沖縄・久米島、海洋深層水を使用 「安心安全」アピール


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
ジーオー・ファームの研究施設で生育された養殖カキ=沖縄県久米島町宇根

 全国でオイスター(カキ)バーを経営するゼネラル・オイスター(東京、吉田琇則代表取締役CEO)の子会社ジーオー・ファーム(沖縄県久米島町、鷲足恭子社長)が、久米島町の海洋深層水を使ってカキの陸上養殖を始める。卵の受精から成貝に生育するまで一貫して陸上で行うのは世界初。拠点となる施設を11月にも建設予定で、早ければ2017年度内に久米島産カキとして全国に出荷する。雑菌がいない海洋深層水を用いることで、ウイルスフリーの食あたりしない「安心、安全なカキ」として世界に売り込む。

 カキの陸上養殖は、卵を受精させる施設(ハッチェリー)と幼貝を3センチ程度まで生育する施設(ナーサリー)、3センチ程度まで大きくなった幼貝を成貝まで育成する施設(グローアウト)の三つの施設で一体的に行う。施設は当面は1300平方メートル規模で、増産体制が整い次第、拡張させ、将来的には3700平方メートル規模にする。

 海水中の植物プランクトンを餌にするカキは、1時間に20リットルの海水を体内で循環させるため、海で養殖した場合、海水に含まれる菌やウイルスが体内に蓄積し、生で食べた場合に食あたりすることがある。久米島町は海洋深層水の取水量が全国一で、カキの生育に必要な大量の海水を確保できるほか、亜熱帯気候により、プランクトンの光合成に適した日照量があるなどの利点がある。

 海洋深層水は表層水に比べ温度調節が容易で、通常2年程度かかる生育期間を大幅に短縮することができる。ジーオー・ファームは「1年以内」(吉田CEO)の生育期間を目標に据えており、20年には年300万個の出荷を目指す。

 ジーオー・ファームは9月末、沖縄振興開発金融公庫と親会社から合わせて3億9千万円の出資を受けた。