前田高地、現役米兵も関心 映画「ハクソー・リッジ」舞台


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 【浦添】NPOうらおそい歴史ガイド友の会は18日、多くの仲間を救った米軍衛生兵を主人公にしたメル・ギブソン監督の映画「ハクソー・リッジ」の舞台となった前田高地など沖縄戦の激戦地になった浦添グスク周辺の戦跡巡りを実施した。現役の米海兵隊員や親子連れら175人が参加した。

 友の会が2015年に一般を対象にした戦跡巡りを始めて以来、過去最大の参加数となった。米国では昨年11月に映画が公開されており、公開後、前田高地には多くの在沖米軍関係者らが訪れている。

 前田高地は首里に置かれた第32軍司令部を守るため日本軍の防衛ラインが張られ、進攻してくる米軍を迎え撃った場所。米軍は同高地を、のこぎりで切ったような崖だとして「ハクソー・リッジ」と呼んだ。

 戦跡巡りは五つの班に分かれ、それぞれのボランティアガイドが説明した。

 友の会の銘苅則夫さんは「日本軍と米軍の両軍にとって戦死者が多く、ここはものすごい凄惨(せいさん)な場所だった」と説明した。

 衛生兵として沖縄戦に従軍し、映画の主人公となったデズモンド・ドスさん(故人)は1995年に前田高地を訪れている。友の会の玉那覇清美事務局長は参加者に「この場所がドスさんがはしごを降ろした場所と言われている」と写真を使って説明した。

 旧浦添村では全人口の約44・6%が沖縄戦で亡くなったといわれる。参加者は映画の舞台のほか、住民が避難したクチグヮーガマ、食料が備蓄されていた乾パン壕なども巡り、浦添の戦闘を学び、思いをはせた。

 前田高地に訪れたのは2回目という米海兵隊の男性(52)は「いろんな所を見学できて良かった。本で読むのと実際に来て見るのでは感じ方が違う。なぜこんな小さな狭い場所で闘わないといけなかったのか。過去の悲惨な状況を思うとつらい」と感想を述べた。

 映画は今年のアカデミー賞で編集賞と録音賞の2部門を受賞した。「ハクソー・リッジ」(配給・キノフィルムズ)は24日から全国で公開される。

英文へ→Maeda Escarpment used as the main stage of “Hacksaw Ridge.”