子宮頸がん検査薬製造へ 県内に工場


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 感染症治療薬の研究開発を手掛けるAVSS(エーヴィス、長崎市、小林信之社長)は、子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)の抗体検査試薬(キット)の生産拠点工場を2015年度をめどに県内に計画している。

県内で同キットの研究開発を進めていた同社は13日までに、試作品の製造に成功。当面は試験研究用の試薬として販売し、14年度後半から本格的な販売に取り組む。16年度売上高で3億5千万円を目指す。
 AVSS社は11年11月、うるま市の沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターに沖縄研究室を開設した。血液中のHPV抗体の有無によりHPV感染の検出を図るキットの開発を進め、HPV抗原の発現や大量培養に成功するなど事業化できる段階に達した。
 同社によると、国内の子宮頸がん検査は婦人科での細胞採取による遺伝子検査が一般的。気軽に検診を受けにくいため検診率の向上を妨げていると分析し、数滴の血液から最短20分でHPV抗体を検査できるキットの開発に力を入れてきた。キットの単価が約千円という低価格化を実現できるめども付いた。
 5月からは県が科学技術や知的産業の振興を目指し整備している「沖縄ライフサイエンス研究センター」(うるま市)への入居が決まり、ウイルス感染に関する、より質の高い実験が可能になるとして事業の進展を見込んでいる。小林社長は「国内は検診が進んでいないのが実情。安価で手軽なキットで、健康診断時の血液を利用した検査が可能。早期発見が期待できる」と強調。豊見城中央病院などと連携してきた小林社長は今後も「沖縄で事業を積極的に進めたい」と意気込んでいる。(謝花史哲)