「基礎解析」「代数・幾何」と聞いて懐かしく思うのは、特定の年齢層になるらしい。1980~90年代ごろまで使われていた高校数学の科目割りで、「数学Ⅰ」の後の「微分・積分」に悩まされた人も多いだろう
▼現在の科目割りは「数学Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、A、B」。一時は「C」もあった。これだと一見して中身は分からないが、基礎解析にあった三角関数は数学Ⅱに、代数・幾何で学ぶベクトルは数学Bに入っている
▼これらは学習指導要領に基づいて決められる。数学の科目名としては大きく変更されているが、内容自体はそう変わってはいないらしい
▼こちらの改変はどうだろう。2022年度から高校の学習指導要領が大幅に変更される。その一つが「国語」だ。従来の「現代文」が「論理国語」と「文学国語」に再編される。論理国語からは文学的な文章は外されるという
▼そもそも国語を「論理」的なものと「文学」的なものとに分類することに違和感を覚える。大学入試に役立つと見て論理国語と古典に選択が集中するという懸念も根強い。教室から「文学」が事実上排除され、将来的な影響を憂う声も出る
▼20年度から新たに大学入学共通テストが始まる。目玉だった英語民間試験の活用は見送られた。何のため、誰のための教育改革か、いま一度考えてみたい。生徒不在の改革なら、これほど迷惑なものはない。