<金口木舌>アカネの漢字は何と書く


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 つる性の多年草植物アカネは、古くから根を染料として使ってきた。漢字は「茜」を当てるが、死者の血のあとに生える草という意味で、「死者」を意味する「鬼」を使った「蒐」の字もある

▼「蒐」には集めるの字義もあり「蒐集(しゅうしゅう)」はコレクションを意味する。「収集」は常用漢字による書き換えだが、若いころ「蒐集」を「きしゅう」と読んでしまい、大恥をかいた
▼認知症と診断された76歳の近しい人が、ポケットやバッグにティッシュペーパーを大量にため込んでいる。家に行ってみるとティッシュケースが空になっていることが何度もあった。本人がいないときに回収したが、次の日にはまた収集を始めている
▼聞けば、収集癖というのは認知症の人によく見られる症状の一つだそうだ。中でも紙類の収集が多いらしい。不安感から収集に走るのか、何かに備える準備のためか。これといった原因や対処法はなく、見えないことが多い病ではある
▼75歳以上の医療費の窓口負担割合について政府は2022年に、一定の所得のある人は現行の「原則1割」から「2割」に引き上げる。低所得者への配慮も盛り込まれるというが、不安は否めない。介護保険の自己負担引き上げも検討されているという
▼アカネの花言葉は「不信」。新たな制度設計をするなら、不安な高齢者をさらに不信に陥らせることがないよう願いたい。