ピンク・レディーの「サウスポー」が幼稚園児の時に人生で初めて買ってもらったレコードだ。B面は「アクセサリー」という曲だったようだが、全く記憶にない
▼レコードからCD、さらにインターネットでの配信に変わった。近年の若い人たちはA面、B面という意識は薄いかもしれない
▼社会学者の上野千鶴子さんと漫画家でライターの田房永子さんの「上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!」(大和書房)で、久しぶりにA面とB面を考えた
▼依然として男は仕事、女は家庭という性別役割の意識が残る中、田房さんは、政治経済は男中心の「A面」、その裏側は育児や介護など女中心の「B面」と表現する。男性は基本的にずっとA面で、妻が訴えないとB面に参加しない。女性はAとBを苦労しながら行き来している
▼育児休業中の男性の3人に1人は、家事や育児が1日2時間以下という民間の調査結果が出た。「とるだけ育休」と呼ばれるのも男性のA面人生を象徴している。政府が始めた運転免許証などに旧姓を通称として記載する「旧姓併記」も、女性が男性に付属するB面といえるだろう
▼レコードには「両A面」という表現があった。両面を売り出したい場合などは、表裏の区別がなかった。人生も「両A面」で、夫婦は家事や育児、介護を協力し合うパートナーでなければならない。