「てびちみたいな足だな」。20年以上前、職場で男性の先輩に言われた。冗談だったのかもしれないが、以来、タイトスカートをはかなくなった
▼日常生活は「ハラスメント(嫌がらせ)」にあふれている。麺類をすする音は「ヌーハラ」、エアコンの温度設定では「エアハラ」。容姿や癖に対する言葉は「パーソナルハラスメント」だ
▼きょうは国連が定めた「国際女性デー」。女性への差別撤廃と地位向上を考える日だ。国連のグテレス事務総長は「今こそ政府や議会、会社の役員会など全てを男女平等にする時だ」と訴えた
▼本紙が国際女性デーに合わせて実施した性的嫌がらせのアンケートでは、路上や学校、公共交通機関など、さまざまな場所で女性たちが幼少から被害に遭っている実態が明らかになった。被害を受けた女性のうち、誰にも相談をしなかった人は約56%に上る
▼中学生の頃に書店で性被害に遭った女性は「門限を過ぎていたので『出歩いている方が悪い』と母に言われると思った」と相談しなかった。勇気を出して話しても「あなたが悪い」と言われれば、口をつぐんでしまう。被害者は悪くない
▼ハラスメントを根絶するには、生活の中で一人一人が諦めずに声を上げることも大切だ。今、「てびち」と言われたら、「ハラスメントだ」と指摘できる。何げない言動で傷つく人がいることも肝に銘じたい。
3月8日は国連が定める「国際女性デー」。女性への差別撤廃と地位向上を考える日です。琉球新報は8日に向け、誰もが自分らしく生きられる社会を目指し、紙面、Webで関連記事を掲載します。ハッシュタグなどで、県外メディアの女性デー企画とも連携します。