<金口木舌>窮鳥懐入


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 きょうから愛鳥週間。野鳥を通して自然保護を考える。日本では1947年4月10日、第1回バードデーから始まった。4月には北の地方で残雪があるとの理由で、のちに1カ月ずらしたという

▼鳥にまつわる故事やことわざは多い。日常に身近な存在なのだろう。「足下から鳥が立つ」は、身近な所で突然、意外なことが起きた状況を表す
▼大型連休中、沖縄地方を記録的豪雨が襲った。2日には1時間に50ミリを超える非常に激しい雨が降った。6日未明には糸満市で1時間120ミリ以上を観測した。雷雨が目覚まし代わりに。土砂崩れや浸水が起きた
▼コロナ禍で密閉、密集、密接の3密防止が呼び掛けられる中、予期せぬ災害で急きょ設置された避難所の課題も浮き彫りになった。東日本大震災や熊本地震の際、避難所でインフルエンザもはやった
▼県内自治体も避難所の3密防止に頭を悩ませる。豊見城市は市役所内に避難所を開設し、テーブルの間隔を2メートルほど離し、消毒液や体温計を備えた。全国でも同様の対策が取られるが、広域災害になれば避難所が不足する事態は想像に難くない
▼「窮鳥懐に入れば猟師も殺さず」とは、逃げ場を失った人が救いを求めたら、手を差し伸べることが人の道理と説く。台風の季節が来る。コロナ禍を想定した避難計画策定も必要だ。救いを求めた手を離してはならない。