<金口木舌>マスクブームの影に


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 今や衛生用品として欠かせないマスクがファッションアイテムになってきた。世界的なデザイナー山本耀司さんは鹿の革を素材に、繰り返し洗えるマスクを発売した。丸山敬太さんが手掛ける布マスクは花柄が目を引く

▼新型コロナウイルスの感染拡大防止策として政府が取り組む布マスクの全戸配布を巡り混乱が続く。計466億円の予算が投じられ「税金の無駄遣い」「天下の愚策」と言われ、評判が悪い
▼妊婦用に配られた布マスクで不良品が相次ぎ、検品費用に8億円が費やされるという。布マスクは人口の多い都市部から優先して配られている。沖縄の家庭にはいつ届くのか
▼県内でもマスク不足が続いていたが最近、市中に不織布マスクが出回り始めた。手作りの布マスクの愛用者も増えている。政府が配る必要性に疑問符がつく
▼コロナ禍による外出自粛や休業で困窮に陥る人が増えている。琉球新報社が実施した県民アンケートで「お金がなくて食料や生活物資を買えない」と答えた人が26・9%を占めた。減収世帯や企業への支援、医療資材の補給など優先事項は他にたくさんある
▼国会で自らの年金受給を問われ「受け取る、受け取らないは秘書に任せている」と答えたのは麻生太郎財務相。国の金庫番の金銭感覚は庶民と懸け離れている。政治と暮らしは直結する。コロナ禍で覚醒した人は多いだろう。