<金口木舌>古いメロディー


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 NHKの連続テレビ小説「エール」を時々見ている。昭和期に活躍した作曲家の古関裕而さんと妻の金子さんがモデル。県出身女優の二階堂ふみさんが出演しており、気になってチャンネルを合わせている

▼古関さんと言えば45年ほど前、民放の歌番組で審査員をしていた頃の、好々爺(こうこうや)といった風貌を思い出す。大作曲家だと知るのは後のこと。生涯で5千曲もの作品を残した
▼スポーツに縁がある。夏の甲子園の大会歌「栄冠は君に輝く」は代表曲の一つ。「オリンピック・マーチ」もそう。戦時歌謡も手掛けた。これも古関さんの歩みであり、日本歌謡史の歴史である
▼親しみやすいメロディーが昭和歌謡の魅力だろうか。古関さんと並んで古賀政男さん、服部良一さんらが昭和歌謡の立役者。先日、服部さんの子息で作曲家の克久さんが亡くなった。時は流れる
▼こちらは時が止まったかのよう。中谷元・元防衛相が玉城デニー知事の関係者に辺野古新基地建設の代替案としてメガフロート案を提示したそうだ。幾度も取り沙汰されたフレーズ。忘れたはずの平成歌謡がよみがえる
▼この提案を指してか、玉城知事は「デジャビュ感満載」とツイッターでつぶやいた。そのうち「業界の利権」という不協和音も聞こえてくるだろう。県民は斬新なメロディーを待っている。作曲家やアレンジャーはいないのだろうか。