<金口木舌>未来予想図


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 映画のテーマにも使われた人気音楽グループ、ドリームズ・カム・トゥルーの「未来予想図Ⅱ」はライブでも定番曲だ。発表から30年もたつと知り改めて音楽の持つ力の強さに驚く

▼未来の想像図は、幼い頃に描いた絵画のテーマでもあった。空中を自動運転のタクシーが飛び交い、自宅では自動で食事が用意される―。あれからずいぶん時はたったが、実現していない絵も多い
▼さまざまな国家プロジェクトには外観の完成予想図がつきものだ。計画立案に関わるシンクタンクが描くイラストは、既存の港湾や空港に仮想の埋め立て部分や新滑走路をコンピューターグラフィックスで描く
▼こちらの未来予想図は何回書き換えられてきただろう。暫定ヘリポート案からリーフ上の沖合埋め立てに決まり、沿岸部の埋め立てに変更された。沿岸部になってからも滑走路が1本からL字型、X字型、そしてV字型。言うまでもなく辺野古新基地計画案だ
▼辺野古が選ばれる過程で、ポンツーンやメガフロートといった聞き慣れない工法も初めて知った。20年たって思いもよらずまたその工法を耳にした
▼未来予想図は書き換えていい。国家から執拗(しつよう)に押し付けられる「唯一」という計画を受け入れてしまうより、自分たちで描く未来予想図を追い求める方がいい。ドリカムも言っている。「ほら思ったとおりにかなえられてく」