「魚もありがたいが、釣り具をいただきたい」と、国に要請したのは、元県知事の稲嶺恵一さん。お金よりも制度や仕組みを求めた。コロナ禍で生活が厳しくなる中、国は全世帯に1人10万円を給付した。定額給付金は「魚」だった
▼食べる物にも事欠く人も多い状況で「魚」は欲しい。一方、コロナとともに生きる社会「ウィズコロナ」の中、そろそろ「釣り具」も求められている。県内の自治体は知恵を絞り独自のコロナ対策を展開している
▼ユニークなのは読谷村。修学旅行やスポーツキャンプなどで県外から定期的に来村していた学校や団体に、村の特産品を贈っている
▼「また読谷に来て」と再訪を呼び掛ける“ラブレター”も添えた。特産品を生かすことで地元企業が潤い、同時に将来のリピーターを確保する。村にはお礼の手紙が続々と寄せられているという
▼中城村はコロナに伴う休校で、受験に不安を抱える中学3年生を対象に、無料塾を提供し、塾の費用を村が負担する。嘉手納町も放課後に無料の補習講座を開き、高校受験生の学習を支援する
▼大学受験生に一律2万円を支給する案を、公明党は撤回した。今、求められているのは2万円という「魚」よりも、中城村や嘉手納町のような学習を支援する「釣り具」であろう。国や市町村は使い勝手の良い釣り具を用意できるか、腕の見せどころだ。