「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」。総菜のポテトサラダを買おうとした子連れの女性を高齢男性が叱責したという投稿がツイッターに上がった。それをきっかけに今夏「ポテサラ論争」がネット上で起こった
▼手作りサラダを強要する背景に「女性はこうあるべきだ」という価値観が男性側にある。幼稚園で使う手作りの絵本バッグ、飲み会の席での取り分けや酒づくり。「女性なら気を配るのが当然」と見なされる目に見えない期待。その空気だけでストレスを感じる
▼固定化された役割に、息苦しさを感じるのは女性だけではない。沖縄の長男は、幼少時からウークイで最前列に座らされ、ウチカビの扱い方などを教えられる。進学や就職は地元を勧められ、トートーメーと親の介護の責任が伴う
▼跡継ぎとして期待される空気を当たり前として受け入れる人が大半だろうが、少数派ながら「なぜ自分だけ」と長男の役割に疑問を抱く人もいる
▼近年、男性の「生きづらさ」に注目が集まる。長男だけではなく男性の「たくましさ」を良しとする価値観になじまない人は、弱音を吐きづらい
▼手作りサラダを強要する男性に限らず、一方的な価値観の押し付けは誰もが避けたいところ。きょうは国際男性デー。男性の役割や性の平等を考える日。自分の価値観について、改めて考える機会にしてはどうか。