毎年、この時期に行われるかるたの日本一決定戦。ことしは京都市の教員が新クイーンとなった。百分の一秒を争う、取り札を巡る戦いは「畳の上の格闘技」とも呼ばれる
▼「盤上の格闘技」と言われるのは囲碁や将棋。ウインタースポーツのアイスホッケーは「氷上の格闘技」と称される。では「空中の格闘技」はご存じだろうか。激しい接触を伴うハンドボールである
▼その男子世界選手権がエジプトで開催中だ。日本代表が奮闘している。初戦はクロアチアと引き分けた。日本が最下位の24位だった前回大会で6位の格上も格上である。世界中の予想を裏切る健闘に国際ハンド連盟も「歴史的引き分け」と反応した
▼序盤にリードすると一度も逆転を許さない展開をけん引したのが東江雄斗選手。王国・浦添出身の逸材だ。司令塔として攻撃の組み立てだけでなく、積極的にゴールを狙い続けた
▼アジア王者、カタールとの2戦目も最後までもつれた。接戦を惜しくも落としたが、決勝トーナメントに進出し、上位に食い込むことが期待される
▼大阪かるたの読み札に「桃栗三年柿八年」がある。何事かをなすにはそれなりの時間がかかる。1988年ソウル以降、五輪出場を逃し続け、開催国枠で出る東京大会に向けて懸命に強化してきた代表の真価が問われている。エースの重圧を負う東江選手の奮起に期待したい。