<金口木舌>地域が支えるエイサー


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 「頑張ってね。応援しているよ」。緊張した表情の青年たちに、地域で活動を見守ってきた80歳の男性が声を掛ける。青年たちは力強い太鼓の音と勇壮な舞で声援に応える

▼2年前の沖縄全島エイサーまつり中日の沖縄市青年まつり、大トリの中の町青年会の演舞はひときわ大きな拍手を浴びた。1990年代半ばにメンバー不足で活動を休止したが、2010年に若者たちが「地域を盛り上げたい」と再結成した
▼青年たちは地域活動やボランティアにも積極的に関わった。中の町自治会は「青年会が再開してから地域が明るくなった」と喜ぶ
▼沖縄全島エイサーまつり65周年記念特別動画が13日、沖縄テレビで放送される。青年会の若者や家族がエイサーを通して成長するヒューマンドラマだ。出演者への演舞指導は中の町青年会が務め、出演もしている
▼出演者の小波津正光さんも19年に演芸集団FECのメンバーと「国際通り青年会」を作り、演舞してきた。昨年の制作発表で「コロナ禍でつらいことも多い。でも日々の思いを込めて太鼓をたたけば『生きていける』と感じる」とエイサーの魅力を語った
▼昨年のエイサーまつりは中止に追い込まれた。実行委員会は今年、感染対策を徹底した上で開催を模索する。一人一人が身近な人を感染から守る心掛けが、地域やエイサーの伝統を守ることにもつながる。