テニスやバレーボールであと1ポイントで決着する状況をマッチポイントを握るという。そこで同点になるとジュース。どちらかの連続得点まで続く。大坂なおみ選手は優勝した全豪でジュースを何度も耐えた試合があった
▼勝敗が決する直前に並ぶのだから力の均衡を示す。繰り返されれば白熱した名勝負となる。県内スポーツを取材してきて忘れられない試合がある
▼2007年の11月、県高校新人大会でのバレーボール男子の優勝戦だ。決勝4校リーグで無敗同士は西原―伊良部のカード。1セットずつを分け合っての第3セットが苛烈(かれつ)な攻防だった
▼先に西原がマッチポイントを握るが、伊良部が追い付きジュース。25点で決する試合が30点、35点でも互いに譲らない。あと1点のところで追い付かれ、逆にあと1点で敗れるの繰り返しである
▼息詰まるの表現通りの展開に会場の具志川総合体育館は異様な雰囲気となった。居合わせた多くがものすごい試合を見ていると感じたはずだ。勝ったのは伊良部高。実に18度のジュースでスコアは43対41。敗れた西原もあっぱれだった
▼バレーボールで全国6度出場の強豪で知られた伊良部高がその歴史に幕を閉じた。競技以外にも卒業生、島の人たちの思い出に彩られた学園の37年間だ。あの一戦のようにそれぞれの心の中で伊良部高の記憶はいつまでも鮮やかに刻まれる。