<金口木舌>未来の命を守る

 2011年3月11日午後2時46分、沖縄市にある本紙の中部支社にいた。テレビのニュース速報で東北・関東での大地震を知った。約40分後、沖縄地方全域に津波警報が発表された

▼最大約1500人の県民が公民館などに避難した。避難所のテレビにはどす黒い濁流が大地をのみ込んでいく様子が映し出されていた。映像を不安げに見詰める高齢者の姿が脳裏に残る
▼東日本大震災は巨大津波、東京電力福島第1原発事故と日本が経験してこなかった災害だった。約40万戸の住宅が全半壊し、1万8425人に上る死者(関連死除外)と行方不明者を出した
▼あれから10年、福島第1原発から約7キロ離れた福島県富岡町を訪れている。この一帯は帰還困難区域で、バリケードが張り巡らされた道と、屋根が抜けた家や店舗が点在する。復興が進む場所がある一方、時が止まったような場所もある
▼われわれは大震災を通して人々が支え合う姿を、悲しみを抱えながらも前を向く姿を見てきた。死者の数の何倍もの人々の悲しみがあることも知った。そして被災者にとって10年という歳月は決して節目ではないのだと取材で気付かされる
▼県出身者たちは「地震に備えて」と訴える。ある日突然、家族や住み慣れた家を失ったらと考えてみる。「未来の命」を守るためにも、経験と知恵を次につなげていく社会でもありたい。



関連するニュース







  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス