<金口木舌>ナイキのロゴと景気回復


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 手を尽くしたら、あとは勝利の女神がほほ笑むか。古代オリンピック発祥の地、オリンピアには勝利の女神「ニケ」の像が残る。ヘレニズム期の彫刻「サモトラケのニケ」は翼が特徴的

▼米スポーツメーカー「ナイキ」は「ニケ」にちなむ。「スウッシュ」と呼ばれる躍動感あふれるロゴはサモトラケのニケの翼がモチーフ
▼「U字型でもV字型でもなく、スウッシュ型になる」。ノーベル賞経済学者ポール・クルーグマン氏は「コロナ後の世界」(文春新書)で景気回復について「2歩進んで1歩下がる」ペースだと分析する
▼1918年から流行したスペイン風邪から比較的早く回復した地域はソーシャルディスタンス(社会的距離)を守っていたという。「早まって経済活動を再開してしまうと、裏目に出てしまう」(クルーグマン氏)。日本の景気の最大の懸念は消費税率引き上げとし「増税はすべきでなかった」と喝破する
▼首都圏で継続していた緊急事態宣言が解除された。菅義偉首相は感染者数や病床使用率が「解除の方向に入った」とするが、宣言中に感染者が増えた日も
▼「コロナに打ち勝った証し」として菅氏が開催に決意を示す東京五輪。コロナ対策に成功した国を見習ったり、消費刺激策として消費税率を見直したりするなどできることはまだある。国民が希望を持てる国を目指してこそ勝利の女神はほほ笑む。