<金口木舌>マネーピット


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 超格安で大邸宅を手に入れた若いカップル。ところが、次から次にトラブルが起き、2人は大金を工面し壊れる端から修理していく。米コメディー映画「マネー・ピット」は欠陥住宅を巡るドタバタを描く

▼映画をほうふつとさせるのが、名護市辺野古で日本政府が進める新基地建設である。防衛省は埋め立て工事の契約更新を繰り返し、発注から2年半で工費が約1・6倍に膨れた
▼防衛省は増額理由に赤土流出防止策や埋め立て材の変更、警備費などを挙げる。「必要な経費を積み上げた」と説明するが、事前に想定できなかったのか。こんなずさんな工事は専門家ならずとも疑問符を付ける
▼日米の安全保障政策に関わる人物たちは、軍事ではなく政治的理由で新基地の建設地が決まったと証言してきた。沖縄に基地を押し込めておけば、政治的にも安上がりだと政府は考えていたのではないか
▼総工費を従来の想定額の約2・7倍の最大9300億円と政府は再試算した。「条件に応じて対応していく」と防衛省。もっと増えるかもしれない。この工事はあまりにも非効率だ
▼「マネー・ピット」は日本語で「金食う虫」。国の借金は昨年12月末時点で1212兆4680億円に上る。軟弱地盤が見つかり地元の理解も得られない新基地建設は金食い虫だ。税金を食いつぶす前に、工事をやめるべきではないか。