元交際相手、顔見知り、全く知らない人からつきまといや、ネット上で誹謗(ひぼう)中傷を受けた場合の精神的ダメージは計り知れない。加害者には、底知れない心の闇が横たわる
▼ストーカー規制法の改正案が、今国会で審議されている。被害者の車などに衛星利用測位システム(GPS)を取り付けたり、携帯電話のアプリで位置情報を勝手に入手したりすることを禁じる項目を新たに盛り込む
▼最高裁は昨年7月「GPSで監視する手口は、ストーカー規制法に当たらない」との判決を出した。反発の声が改正を後押しした
▼一方で課題は残る。法適用の前提が「恋愛感情が満たされなかったことを動機としている行為」という点。同じつきまといでも、面識のない人や交際相手の元パートナーなどは法の対象外となる
▼北谷町で米兵のストーカー被害に遭っていた女性が殺害され、13日で2年となった。ストーカー規制法が改正されても、そもそも駐留する米軍人・軍属のつきまといは想定されていない。このような不条理を日米両政府はいつまで放置するのか
▼「終わりのない恐怖を抱き続けるのは苦しい」。被害者の言葉だ。ストーカー行為を未然に防ぐためには、加害者の心の闇にもメスを入れる必要がある。加害者へ治療の義務付けを求める声もある。解決への道のりは遠い。しかし、歩み続けなければ救いの日は来ない。