スエズ運河でコンテナ船が座礁する事故が3月にあった。運河を往来できず300隻以上が足止めされ、世界経済への影響が懸念された。6日後に離礁したが、原油運搬への懸念から原油価格が上昇した
▼「風が吹けば桶屋(おけや)が儲(もう)かる」ではないが、エジプトでの事故が私たちの生活に関わるとは思わなかった。調べれば、日本の商船保有数は中国と世界2位を争う多さ。海とは切っても切り離せない海洋国である
▼紙のストローに竹製歯ブラシの普及が進む。全ての飲料商品をペットボトルからアルミ缶に切り替える企業もある。海洋汚染の原因となるプラスチックごみを抑制するためだ
▼サンゴの村宣言をした恩納村は、イネ科植物ベチバーを農地周りに植えるなど先進的な取り組みを推進している。グリーンベルトをつくって土壌を保全し、海への赤土流出を防ぐ狙いだ
▼「海―その望ましい未来」とうたったのはエキスポ’75の沖縄国際海洋博覧会だった。あれから約半世紀。海洋汚染は深刻の度合いを増すばかりで、海にとって望ましい未来とは決して言えない
▼レジ袋をもらわなくなった。感じた不便は今はどうか。当方は手提げを持つのが習慣になった。きょうは世界海洋デー。国を超え、一つの海を考える日だ。「桶屋が儲かる」ではないが、一人一人の心掛けや習慣の見直しが大きな効果を生むはずだ。