<金口木舌>育児・家事は「手伝わない」時代へ


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 子育て中の共働き夫婦を題材にした台所用品会社のメッセージ動画が昨年、話題になった。妻が子どもを寝かしつけるそばで夫が食器を洗う。画面には「僕は手伝わない」の文字

▼一瞬「もやっ」とするが「僕もやるのが当たり前だと思うから」との言葉が並ぶ。夫婦で家事・育児を担うのは当然で「手伝いではない」と夫の前向きな考え方が分かる
▼改正育児・介護休業法が3日、衆院で可決された。子どもが生まれて8週間以内に夫が4週分の休みを取れる「男性版産休」。狙いは少子化の歯止めだ。夫婦が共に協力して家事や育児をする時代だ
▼沖縄も2020年は沖縄戦直後以来の最少の出生数となった。新型コロナウイルスの影響もあるが、子どもが多いとされる沖縄でさえも、以前から少子化傾向が続いている
▼制度はあっても活用できなければ絵に描いた餅。本人の意志と企業の協力なしには男性の家事・育児への主体的な参加は難しい。男女ともに産休・育休が取れる会社にするためには、トップの意識と欠員をカバーし合あえるゆとりある組織が要。一定の公的補助も必要だろう
▼メッセージ動画はコロナ禍を踏まえ「家族のカタチも仕事のカタチも変わったのだから、僕たちのカタチも変われるはず」と締めくくる。リモートワークなど働き方は変わった。家庭内の働き方も変わるチャンスでもある。