<金口木舌>シビックテックと選挙


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 那覇市議選が4日告示された。候補者のポスターが各地に掲示されている。那覇市民でなくても、秋に控える衆院選の動向をうかがう材料として、気になる人もいよう

▼ポスターが掲示されている371カ所を、ウェブエンジニアの大田小波さんがネット上の地図に公開した。「政治や行政はプロセスや情報をオープンにすべきだ」と話し、利用可能なあらゆる自治体情報がウェブで公開されることを願う
▼地域の課題解決やサービス向上は、行政だけに任せるのではなく、市民が参加する時代だ。そのような中、ITのエンジニアが課題解決を手伝う「シビックテック」という手法が注目されている。大田さんのアイデアもその一つだ
▼東日本大震災の時、避難所の場所や支援物資の不足などを地図上で示し、成果を上げた。新型コロナウイルスの感染動向も、各地のエンジニアによる取り組みが市町村で広がっている
▼「三人寄れば文殊の知恵」というが、ネット上では瞬時に多くの知恵が集まる。IT化の波は、民間団体と行政が「協働」する時代を生み出した
▼選挙もITが欠かせない。クリック一つで候補者の略歴や公約が分かるようになった。市議選の候補者もSNSで“映える”画像のアップに熱心だ。IT化で政治は市民に見えやすくなった。投票なくて未来に変化はない。しっかり吟味して1票を託そう。