三重県鈴鹿市の市道交差点で2月、信号機が鉄製の柱ごと倒れた。東京新聞によると三重県警科学捜査研究所が信号機の根元の地面から、他の地点の42倍に上る尿素を検出した。犬の尿で柱の腐食が早まった恐れがあるという
▼けが人はいなかったが、近くのブロック塀が一部壊れた。柱の耐用年数は50年だが設置から23年しかたっていなかった。現場は飼い犬の散歩コース。尿は水分と塩分が含まれ、腐食を早める原因になる
▼マーキングは犬や猫の本能的な行動だけに制御するのも難しい。散歩させる際、尿がかかった場所を洗い流すために水を持ち歩く飼い主もいる。信号機の柱などはマーキングしづらいよう構造を見直してもいいはずだ
▼ペットフード協会の調査によると犬の新規飼育頭数は2020年、19年より14%増えた。飼育理由は「生活に癒やし、安らぎがほしい」などが多かった。コロナ禍で自宅にいる時間が長くなり、ペットに癒やしを求める人が増えた可能性があるという
▼一方でペットを巡る近隣トラブルも多い。環境省によると石川、長崎、沖縄を除く44都道府県に動物愛護関連の条例がある。茨城、新潟両県は猫の具体的な飼い方も示しているという
▼人間社会でのトラブルの責任はペットではなく飼い主にある。コロナ禍でペットとの関わり方についても身近な所から考える必要がある。