<金口木舌>国民に向き合う勇敢さはあるか


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 2011年に米国務省で開かれた日米安全保障協議委員会。会見でクリントン国務長官に米側メディアが質問したのは、サウジアラビアでハンドルを握った女性たちへの見解だった

▼普天間飛行場移設問題が議題だっただけに米側の関心の低さを感じてむなしくなったが、世界を主導していた女性政治家の発言に耳を澄ませた。「彼女たちの行動は勇敢で心を動かされた。支持する」
▼保守的なイスラム社会のサウジアラビアでは世界で唯一女性の運転が禁止されていたが、女性らが立ち上がり18年に合法化。日本では1917年9月27日に女性が初めて運転免許を取得したことから、今日は「女性ドライバーの日」とされる
▼運転以外はどうか。性差指数を調査しているスイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」の2019年の発表では、日本の指数は0.652で世界153カ国中121位と過去最低だった
▼日本ではドイツや台湾のように女性政治家がトップに立ったことがない。自民党総裁選では女性2人が立候補しており、いよいよ日本でも女性首相誕生も現実味を帯びてきた
▼新型コロナ対策や格差是正など課題が山積しているほか、森友・加計学園問題、桜を見る会、参院選広島選挙区買収事件など数々の疑惑解明も待たれる。党内の権力争いに終始せず、国民に誠実に向き合う勇敢さがあるのかが問われている。