<金口木舌>「オキナワンブルー」必ず輝く


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 青いシロップのかかったかき氷を何と呼ぶか。「ブルーハワイ」と疑いなく信じてきたが、妻から「ハワイアンブルー」と言われて自信が揺らいだ。青さを前面に押し出した希少な食べ物と思い名前にこだわっていたが、昨今は食に「青の時代」が到来し、鮮やかな料理や菓子を目にする機会が増えた

▼立役者は、花を煮出すことで青い色素を得られるバタフライピーだ。加工しやすいことから次々に「映える」商品が生み出されている
▼このチョウに似た可憐な花を、沖縄の特産にしようという動きがある。色素だけでなく、育てやすく収穫しやすいことから、高齢化の進む農家にとって福音になると期待される
▼青は食欲を減退させるとされているが、多分に慣れが関係するのではないか。味が良く、目にも楽しい逸品が増えれば、常識を覆す日はそう遠くないかもしれない
▼一方で青は、沈痛な心境を表現する際にも使われる。新型コロナウイルスの感染が急拡大した4月以降、沖縄を覆ったのは、まさにうっ屈とした「コロナブルー」の暗くよどんだ青だった。県民が忍耐を積み重ねた結果、少しずつ収束の兆しが感じられるようになった
▼まだ社会経済活動の制限は続いている。それでも、希望という意欲を減退させてしまわない限り、美しい真夏の海と空のような「オキナワンブルー」が輝く時は必ず来る。