本に囲まれ、テントで寝転んで読書する親子の写真に、思わず笑みが浮かんだ。嘉手納町立図書館で、「親子お泊まり会」が開かれた
▼約8万8千冊の本の中で朝を迎えたことは、参加した子どもの思い出に残ったことだろう。他の地域にも広がってほしい
▼全国出版協会・出版科学研究所の調べでは、2020年の出版物の推定販売額は前年比4.8%増の1兆6168億円。コロナ禍の巣ごもり需要に加え、電子出版が大きく伸びている。電子の利便性は素晴らしいが、思いも寄らぬ一冊と出合える書店や図書館巡りにも格別の味わいがある
▼本は自分の世界を広げてくれる。しかし、小学生の一時期、どうにも手が伸びなくなったことがある。教師の方針で、読んだ数を競うように壁に貼られたシールの枚数のみで優劣を付けられる雰囲気に嫌気がさした。大切なのは何を感じたかで、読書量を比べることではない
▼日ごろ忙しくしている人にこそ、読書に没頭できる贅沢(ぜいたく)な時間は貴重なものだ。年末年始に向けて、お気に入りの一冊と出合いに行こう。