<金口木舌>地域をさまよう小さな命


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 原野や護岸でたたずむ猫の姿に目をうばわれた。与那原町役場で開催中の「さくら猫パネル展」に足を運んだ。愛らしい様子から想像しにくいが、主催するよなばるネコの会は「飼い主に捨てられた猫、野良猫から生まれた子猫たち」と話す

▼ネコの会は猫を放し飼いにしない、終末まで責任を持って飼ってほしいと啓発を目的にパネル展を開いた。猫は繁殖力が強く、不妊手術を施していなければどんどん増える
▼動物愛護管理法では、犬猫の遺棄や虐待は罰則の対象だ。それでも遺棄は後を絶たず、新しい飼い主が見つからなければ、殺処分される。人間の無責任さが動物を苦しめている
▼猫は愛玩動物としてみじかな存在。ペットを失った後に気分が沈む「ペットロス」も耳にする。解剖学者の養老孟司さんは飼い猫を老衰で失い、ペットロスを体験。取材に「居そうな場所にふと視線がいく。そんな癖が、やっと抜けてきた」と話している
▼日々の生活に彩りを与えてくれる猫は大切な家族の一員。飼うなら「一生家族」という覚悟が必要だろう。