桃の節句から2週間がたつが、我が家の居間にはまだひな人形が鎮座している。妻が愛らしさに一目ぼれした手縫いの小さな人形は、家族を和ませてくれる
▼沖縄ではあまり意識されないかも知れないが「ひな人形の片付けが遅れると娘の婚期が遅れる」という迷信がある。由来は不明だが「片付けを後回しにするようでは魅力的な女性になれない」と子どもをしつける意味があるようだ
▼物を片付ける習慣を身につけさせることは良いことだ。一方で、端午の節句を祝う五月人形は出しっ放しにしている家も多いのに、ひな人形にだけある種の呪いのような言われがあるのはふに落ちない
▼無批判に迷信を口にしていた過去の自分は、男性は仕事、女性は家事という古い役割分担意識を再生産してしまっていたのかもしれない
▼子どもの幸せを願う行事で、窮屈な固定観念に押し込めてしまっては本末転倒だ。「家の片付けは女性の仕事」という時代錯誤な考え方がまな娘の人生を邪魔しませんようにと願いを込めて、ひな人形を飾り続けようと思う。