戦争の傷の痛みに泣く子を、かつての敵である米軍に委ねた日本。その間に、世界にも例を見ない急速な経済成長を遂げ、経済大国となった
▼復帰前には、沖縄と日本を、里子と親との関係になぞらえる人もいた。里子は、米軍の暴力でさらに痛めつけられた。人権と平和を保障する親元の憲法に憧れ、ようやく戻った
▼その親は子の面倒は見るが、在日米軍専用施設の7割を押し付ける。子がもう少し基地負担を減らしてほしいと、普天間飛行場を「県内でなく県外へ」と訴えても背を向ける
▼50年前も今も変わらない。それどころか新たな国の「沖縄振興基本方針」では、沖縄の「自主性を尊重」の文言を削り、自立を阻む力を強める。他県が用途別にもらう費用を、沖縄は首相直属の機関から年間分まとめてもらうから「特別な予算」と誤解される
▼地方自治や分権の確立が求められる時代。国と沖縄の関係を親子になぞらえることに異論もあろう。本来は対等の関係だ。であるならば、自立を求める沖縄の願いを、もう少し尊重してはどうだろう。