<金口木舌>虹はいくつの色?


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 長雨が続くと太陽が恋しくなる。平年の3倍以上の降水量という梅雨は湿気を含んだ空気とともに気分を重くするが、厚い雲が切れて空に架かる虹を目にすると気分が晴れる

▼国によって虹の色数に違いがあるが、日本では7色が常識とされる。かのニュートンが音階になぞらえて7色と主張したのを明治以降に取り入れたそうだ
▼先天性の色覚障害のある当方は虹が7色に見えたことがない。写真で拡大しても3色程度しか認識できない。絶対的な真実のように「虹は7色」と断言されると、どこか寂しい気持ちになる
▼もっとも、大まかな色の違いは分かるので日常生活ではそこまで不便はない。電車の路線図が目で追えなくなることや、肉の焼けた色が分かりづらく夫婦げんかのタイミングによっては焦げ気味の肉を食べる羽目になるくらいだ。自分では「個性」だと思っている
▼社会の理解と周囲の優しさがあれば、多くの人の「個性」が輝く機会はより増えるだろう。「虹の色数は見る人次第」。いつか、それが常識になると良い。