<金口木舌>平和と愛の通信を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 今日は七夕。結婚後に働かなくなった織姫とひこ星に怒った神様が2人を引き離し、年に一度だけ会えるという中国の伝説があり、街中で短冊が飾られている

▼二つの星の距離は14・4光年。光の速さの恋文を送っても返事が届くまで30年近くかかるという、究極の遠距離恋愛だ。お互いの愛を信じていても、便りがなければ不安もあるだろう
▼先日のKDDIの通信障害によって、いつでもどこでも気軽に連絡を取れることは決して当然ではないと気が付いた。文字通り天文学的な時間軸からすればわずかな期間だが、日常の便利さを痛感した
▼一方、ロシアのウクライナ侵攻では、メディアに加えて個人がスマホなどで戦場の実相を発信している。通信は戦争反対の声を高める「武器」となっているが、本当はこんな使い方をしなくてもよい平和な世界にしなくてはならない
▼天の川を挟んで輝く二つの星を、敵対ではなく恋物語に見立てた先人の感性に倣い、平和と愛に満ちた通信が世界を飛び交うよう短冊に誓いを立てようと思う。